虹色の灯〈2〉
――ある、団体の主催で集められた。
列車を罠から抜ける前、バースの言葉をふと、思い出す。
気になる。
バースさんは知っていた?
隊員のみんなは、まるで手探り状態の様子。
どういうことだろう。
――極秘で任務を遂行させている。
ロウスさん、あやふやな言い方してたっけ?
大人て、何かと隠し事するものだ。
列車に乗ってる子供たちも、此れからたどり着くだろうと、いう場所も理解してないみたいだ。
――“力”を植え付けられていた。
アルマさん、それは、大人の仕業?
怖い。
どうなるんだろう、どうすればいいのだろう、どうやって【守る】をすればいいのかと、考えてしまう。
バースさん、せめて、今何処にいるかぐらい、連絡して欲しいよ。
心が折れそう。
でも、それでも僕、まっすぐ前を見る勇気を振り絞るよ。
現実は、辛い事ばかりじゃない。
生きる為の、灯を探すのも、僕たちは必要なんだ。
虹を手に入れて、進もう。
言葉にしたら、みんなはどう、受け止めてくれるのだろう?
バースさん、決めたよ。僕は、僕は――。
「列車を、走り終わらせたくありません。子供たちが行き着く先を見たいと、思います」
隊員、タクトのその言葉に、一斉に振り向く。
「此処で、あれこれと躊躇うより、先に何があるかと、自分たちの目で視て、確かめる。動けと言われる前に動いてもいいはずです。バースさんとも、必ず、会えます。絶対に会いましょう!」
瞳を澄みきらせ、背をまっすぐと正し、タクトは言う。
「バースがおまえを護衛隊に率いれた意味、今なら、理解出来る」
鎮魂の言葉のアルマ。眼差し、光を含ませる。
タクト、おまえは私達の《灯》だ――。
目頭赤く染め、更に指先をタクトの額に乗せるアルマ。
「あの、皆、さん、見てますけど?」
タクト、正面となるアルマに戸惑いを覚える。
「行くぞ、タクト。私達が目指す先に!」
額に衝撃。タクトの身体、後方へとわずかに傾く。
デコピン?アルマさん、それ、あんまりだよ。
苦笑。
視線の先のアルマ、微笑。
「おまえ達も、いいな?任務を独断で続行しつつ、バースとタイマンの消息を追っていく!」
「了解!」
隊員一同、敬礼。
直立不動でアルマに向く。
タクト、車窓へと歩み寄る。
流れる景色に、ぽつりぽつりと民家の明かり。夜空を仰ぎ、満天の星。
バースさん、今のみんなにどんな言葉をかけてくれるかな?
風が吹き込むような感覚が迸る。
其々に灯を焚きあがらせるように、隊員達は、肩を組み、唄を唱する。
心に響かせ、高らかに、朗らかにと、室内を木霊さていく。
通信機より、着信の音。
唄は止み、誰もがその方向に注目する。