参
「さて、みんなに問う。熱い思いを残すとしたら?」
竹川信行がクラスに向かって問いかけた。
「テープ!」
「映像!」
「撮影!」
それぞれクラスの人がテンポよく答え、小早川正人が立ち上がり問いかける。
「このクラスの何を残す?」
またもやクラスの人達がテンポよく答える。
「熱き想い!」
「正義の心!」
「面白さ&ノリ!」
その答えに満足そうにうなずきながら、鈴木奈美恵が立ち上がり問いかける。
「して、それは何?」
一瞬クラスが押し黙り考える。
「実写版戦隊もの!」
「魔法少女!」
「かわいいは正義!」
ここで、クラスの方向性が決まった瞬間だった。
「ヨシ!台本は某薄い本で有名作家が担当!ただし俺の心の平穏のためにBL禁止だ!」
竹川信行がビシッと指さし叫んだ。
「衣装&メイクはコスプレイヤーオタクが中心になって活動!頼んだぞ!」
小早川正人もビシッと指さして叫んだ。
「ならば、撮影、編集は機械オタクが中心になって動くように!期待しているわ。」
鈴木奈美恵もビシッと指さしてニッコリ微笑む。そしてクラス中を見渡しながら、一言付け加えた。
「基本は、あるものを工夫して使うわ。でも活動資金は集めるわよ!撮影資金&クラスでの遊び資金よ!金額決めるわよ~!会計は私に任せなさい。月一で会計報告出します。もちろん担任からももらうわよ。先生は自己の責任において見栄を含めた資金を出してくださいね。」
それって、『担任は大人だし、多く出しやがれ』ってことですね。
幾らむしりとるつもりやら・・・担任に合掌。
「ならば、クラスみんなで部活としても登録してしまおう。部活動はかけもちOKだし。担任が顧問として登録。5人以上ならば部活動として認められ部活の活動資金も得られる。部長は俺が引き受けよう。」
竹川信行が俺っていいこと言ったとドヤ顔で言った。
「ならば俺は副部長だな。では、さっそく副部長として問う。悪役は誰が良い?」
小早川正人がニヤリと笑いながら言った。
「イケメン?」
「色気むんむんでおばちゃん心をつかめ?」
「リア充は滅べ!」
竹川&小早川が人の悪い笑みを浮かべ叫ぶ。
「「イケメンは滅ぶべし!すなわち悪だ!よって担任は悪役決定!」」
「なんで俺なんだ!」
担任がガクリとうなだれながら訴えるが、誰も聞いちゃいない。
サクサクと話は進む。
「さて、誰に滅ぼされたいのかしら?」
鈴木奈美恵がクラスに問う。
「かわいいは正義!」
「萌え求ム!」
「俺の心に癒しを!」
小早川正人がビシリと指さし言う。
「村上美鈴、色は黄色。」
竹川信行がビシリと指さし言う。
「吉田由美、色は青色。」
鈴木奈美恵がビシリと指さし言う。
「蓮杖愛華、色はピンク。リーダー担当。」
小早&竹川&鈴木が声をそろえて宣言する。
「「「実写版魔法少女と決定する!配役等反対意見はあるか?」」」
そしてクラスが一つになった瞬間である。
「「「「異議なし!!!!!」」」」
そうして、ノリと勢いではじまってしまった・・・私の人生までも決まってしまった瞬間である。
なんで、こうなった。
『妥協するな!趣味なんだから、とことんまで目指せ!趣味のプロとしてのプライドを!』を合言葉にして作った結果、驚くほどの出来栄えとなり話題を呼んだ。
私の意見は?趣味のプロって?。との疑問もはさめず・・・勢いで突き進んで行った結果は。
文化祭では上映会や撮影に使った衣装等の展示に、握手&撮影会実施。
ノリでネットにアップ→話題になりテレビに→どうせなら会社立ち上げちゃう?→いつのまにか私も芸能人と呼ばれる人種に。
クラスの誰一人かけることなくノリで人生の進路が決まった。
お前らそれでいいのか?