元日
「あけましておめでとう、だね!」
「うん、あけましておめでとう。」
一月一日。いわゆる元日。
「あと、ハッピーバースデーも!」
「はは、ありがとう。」
ついでに言うと、今日は僕の誕生日だ。
年明けということで、僕、ワタル、マイ、サトミの四人で初詣に行くことになったのだが、ワタルとサトミが遅刻。つまりはマイと二人きり。
「ねーねー、誕生日プレゼントは何が欲しい?」
「うーん…今は特に欲しい物とかないかなー。」
「ちぇっ、欲がないなあ。可愛い女の子がプレゼントあげるって言ってるのに。」
ヤレヤレといった感じでマイはため息をついた。
余談だが、僕はマイに片思い中だったりする。
「それにしても遅いな。二人ともなにやってるんだろう。」
「サトミはワタルを迎えに行くって言ってたけど、多分ワタルが何かやらかしたんでしょうね。」
「まあ、あいつは方向音痴だから一人にするわけにもいかないしな。」
「サトミも大変ね…ねえ、先におみくじ引いちゃおっか。」
「待たなくてい「いいからいいから。行くよー。」
マイに引っ張られるまま、おみくじコーナー(?)へ。
「さすがに混んでるなあ。マイ、はぐれるなよ。」
「どーれーにーしーよーうーかーなー…よし、これ!」
「………」
まったく聞いていない。いつものことだが、僕が気をつけるしかない。
「むーーー…」
「…何やってるの?」
「念を込めてる。」
「引いたあとに込めても意味がないんじゃないか…?」
適当に選んで、きれいにたたまれたそれを開く。
でかでかと書かれた『凶』の文字。
「やった、大吉!ねね、ユウはどうだった?」
「凶。」
「あちゃー、今年も大変だねー。」
「今年もってなんだ今年『も』って。」
チラッと恋愛運の欄を確認する。
『相手の気持ちに変化が訪れる。行動するなら夏。』とのこと。
「お金と仕事と健康と勉強……お金と仕事と健康と勉強……」
「夏、か…」
「ん?何か言った?」
「いや、なんでもないよ」
今年から受験生だというのに、夏は難しいんじゃなかろうか。
「あっ、あれサトミたちじゃない?」
「みたいだな。それじゃ行こうか。」
おみくじを木に結びつけて、遅刻組のところへ戻る。
「おっ、ユウタ!どこ行ってたんだよ。」
「お前が遅いからこっちは先におみくじ引いてたんだよ。」
「マイ~遅れてごめんね~。」
「いいっていいって。どうせワタルが餅でも喉に詰まらせて説教くらってたんでしょ?」
「なんでわかるの!?」
「さすがはマイね~。」
「呆れた…ワタルらしいっちゃワタルらしいが。」
「どーいう意味だそれは!」
「そういえばユウタくん、誕生日おめでと~。」
「ありがとうサトミさん。」
「無視すんな!!」
いつものメンバーになったことで、みんなのテンションも上がっているようだ。
うん。今年も、なんだかんだ楽しい一年になりそうだ。