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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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1/9

第一話 配信終了後、キスは禁止です

初めまして、またはお久しぶりです。

 この作品を開いてくださり、本当にありがとうございます。


『百合営業のはずだった。』は、

 “好きじゃないふり”をし続ける二人の話です。


 配信のため。数字のため。ファンのため。

 そう言い聞かせながら距離を縮めるうちに、少しずつ境界線が壊れていく。

 そんな、甘くて少し息苦しい関係を書きたくて、この物語を始めました。


 たぶんこの二人は、かなり面倒くさいです。

 でも、だからこそ可愛いと思っています。


 配信中の笑顔と、配信が終わった後の沈黙。

 その温度差を楽しんでいただけたら嬉しいです。


 それでは。

 “営業”から始まる恋を、どうぞ。

「じゃあ最後、恒例のやついこっか」


 コメント欄が一気に流れた。


『きた』

『営業ターイム』

『夫婦助かる』

『早く結婚しろ』


 リングライトの白い光が、隣の女の横顔を綺麗に照らしている。


 白銀みたいな髪。涼しい顔。なのに、配信になると急に距離感が壊れる女。


 その人の名前は、雨宮レイ。


 そして私は、星乃ミオ。


 二人組Vtuberユニット『Lily Crown』として活動している。


 売り方は簡単だった。


 “仲良し百合営業”。


 それだけ。


「ミオ、顔赤い」


「ライト暑いだけ」


「ふーん?」


 レイが笑いながらこちらへ寄ってくる。


 コメント欄がさらに荒れる。


『近い近い近い』

『うわ今日ガチだ』

『レイ様の圧』

『ミオ逃げて』


 逃げられるわけがない。


 だってこれは仕事だから。


 登録者を増やすため。

 再生数を取るため。

 生き残るため。


 だから私は、カメラに見える角度で笑う。


「はいはい、今日の営業終わりね」


「営業って言っちゃうんだ」


「だって事実でしょ」


 そう言った瞬間。


 レイの笑顔が、一瞬だけ消えた。


 本当に、一瞬。


 ノイズみたいに。


 でもすぐに彼女はいつもの顔へ戻る。


「じゃ、最後サービスしよっか」


「は?」


 次の瞬間。


 レイの指が私の顎を軽く持ち上げた。


 近い。


 近すぎる。


「ちょ、レイ──」


 柔らかい感触が頬に触れた。


 キス。


 頬だった。

 頬、のはずなのに。


 頭が真っ白になる。


『!?!?!?』

『過去最高』

『付き合ってないって嘘だろ』

『ミオ固まってるwww』


「はい配信終了〜」


 レイは満足そうにボタンを押した。


 画面が暗転する。


 静寂。


 さっきまで騒がしかった部屋が急に広く感じた。


「……急に何」


 私がそう言うと、レイは椅子にもたれながらこちらを見る。


「ウケるかなって」


「それだけ?」


「それだけ」


 即答。


 なのに。


 なぜか胸の奥がざらついた。


「……営業熱心ですね」


「ミオこそ」


「私は普通」


「普通の子は、頬キスであんな顔しないよ」


「っ……!」


 熱い。


 絶対赤くなってる。


 レイは面白そうに笑った。


 むかつく。


 本当にむかつくのに。


 その笑顔を見るたび、心臓が少しおかしくなる。


 だめだ。


 これは営業。

 ただの演出。


 そうじゃなきゃ困る。


 だって私たちは、“そういう売り方”をしてるだけなんだから。


 なのに。


 配信を切ったあとも、頬の熱だけが消えてくれなかった。


 スマホが震える。


 通知。


『#レイミオキス』


「……は?」


 トレンド一位だった。


 しかも切り抜きが、もう百万再生を超えかけている。


 終わった。


 いや、始まったのかもしれない。


 私たちの、たぶん一番めんどくさい恋が。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。


『百合営業のはずだった。』第一話、いかがでしたでしょうか。


 最初はただの“ウケ狙い”だったはずなのに、

 たぶん一番振り回され始めているのは本人たちです。


 配信中は簡単に触れられるのに、配信が終わると急に距離が分からなくなる。

 そんな、不器用でややこしい関係を書くのがとても楽しかったです。


 レイは余裕があるように見えて実はかなり危ういタイプで、

 ミオは冷静そうに見えて感情が顔に出るタイプです。

 今後この二人がどう壊れて、どう好きになっていくのか、ぜひ見守っていただけたら嬉しいです。


 感想やブックマーク、とても励みになります。

 「このシーン好き!」などあれば、ぜひ教えてください。


 それではまた次のお話で。

 “営業”の続きは、たぶんまだ終われません。

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