終了
「宵闇を
灯す炎を
見たのなら
我が力にと
風を纏いて……」
ソレルの口から紡がれたのは、これまで聞いたどの詩とも違う――
儚げで、美しく、どこか危うさを孕んだ詩だった。
それを聞いたミラの表情が、一瞬で蒼ざめる。
「……どういうこと……? それは……今までの詩じゃない……」
(灯す炎……我が力に……まさか……)
ミラはソレルの意図を読み取り、すぐさま叫んだ。
「イリス!! 今すぐ力を止めてッ!!」
だが――
「すまねぇ……ミラ……!
もう止まんねぇんだよ!!」
イリスは紅蓮の拳を振り上げ、極限の炎を纏ったバーストストライクがルクスへと迫る。
その瞬間だった。
轟々と燃え上がるはずの炎が、まるで吸い寄せられるように揺らめき――
「なっ……!?!?」
イリスが驚愕の声を漏らした。
「ソレル!!ナイスアシスト!! 妨害は任せて! いっけー!!」
ルクスの《ライトニング・イリュージョン》が再び光をばら撒き、視界を乱す。
「ふふ……任せて、ルクス」
ソレルは静かに微笑みながら扇子を一閃。
「この力は秘密にしていたけれど……今、この場面でこそ真価を発揮するわ。
ありがとう、イリス。あなたのその“炎”、しっかり使わせてもらうわ」
「なっ……!? ど、どういう――」
そして、ソレルが囁くように技名を紡ぐ。
「―ロスト・チェンジ・ラプソディ」
その言葉と共に、イリスの纏っていた炎が風に巻かれ、急速に吸収されていく。
“ロスト”を“チェンジ”する技――
それが、ソレルの隠し札。
「さぁ、ミラ、イリス。
あなたたちの“持ちうる火力”で……そのまま沈みなさい。」
――直後。
巨大な風と極炎が混ざり合い、爆裂するような衝撃が仮想フィールドを包み込む。
視界が白く、風が唸り、熱が空間を揺らし、
すべての音が交錯するその中で――
『ゲームセット! 勝者、ルクス・アストリア&ソレル・アルティナ!!』
訓練施設に、勝利のファンファーレが高らかに響いた。
模擬戦――終了。
昨日寝落ちしちゃってました