開始
「よし!タッグは――ルクス&ソレル、イリス&ミラだ!!
皆、全力を尽くして頑張ってくれ!!」
俺の声が響くと同時に、訓練施設の仮想フィールドが展開される。
観戦所とステージは遮断され、ここからはもう声は届かない。
後は、彼女たちが自分の判断で動くのみ
さあ、お手並み拝見だ――
「最初に言っとく……イリス。無鉄砲な突撃だけはやめてね……?」
ミラがやや不安げな声で牽制する。
「うぅ〜ん、でもよ〜?ミラ、こうも言うだろ?
“先手必勝”ってよ?」
「ちょ、イリス!!バカっ!!」
ミラが珍しく声を荒げたその瞬間――
「フッ!展開――ヴァルカニック=コロナ!!
うちの好きな言葉は『猪突猛進』!!
ルクスゥゥゥ覚悟ぉぉぉぉ!!!」
炎をまとった2つのナックルが、蒸気のように空間を裂き、一直線にルクスへ突撃する!!
「ルクス、右上……来るわよ?」
「了解っ!行きます――展開アストラル=レイ!
《ライトニング・イリュージョン》!!」
眩い閃光がアストラル=レイを中心に炸裂し、イリスの視界を一瞬で奪う。
「ぐぁっ!!目が!!しまった……見えない!!」
「はぁ……展開グリモア=ノクス……
干渉……アストラル=レイ……これで光は、消えるはず……」
ミラの魔導書が虚空に展開されると同時に、空間の光がねじ曲げられ、ルクスの閃光が霧散していく。
「えー!!私のアストラル=レイが!!!
……ま、まずいカモ……」
ルクスが目を点にした、その刹那――
「よーし!サンキューミラ!!
行くぜ!コロナ!――《バースト・スマッシュ!!》」
燃え盛る拳が、光の残滓を切り裂きルクスへと襲い掛かる!!
だが――
「イリス……まだまだ甘いわね」
イリスの拳が消えた。
いや――掻き消された。
「なっ、なんだぁ!?!?!?」
「甘いわね、イリス?
こんな辺鄙な風で消えるなんて」
ソレルが扇子をひらりとはためかせながら微笑む。
彼女の《スターリング=ブリーズ》は、風の斬撃だけでなく、空間の熱量すらも削ぎ落とす。
「くっ……クソぉ!!
まだだ……まだ終わってねぇよソレル!!」
イリスのナックルが、熱を脱ぎ捨てるように紅から淡い青の炎へと変貌する。
「……はぁ。バックアップは任せて……イリス」
ミラの干渉魔導書が再び光を帯びる。
そして、ルクスは胸の内でふふっと笑う。
「さぁ――ここからが、本番だよ」
投稿時間遅くて申し訳ないです