ダスター
《ダスター》
この世界において、いや、俺たちが所属する宇宙国家にとっての絶対的な敵。
何を目的に動いているのか、その答えはいまだに見えてこない。
ただ一つだけ、確かなことがある――
奴らは、不安定だ。
形状、サイズ、性質。すべてが曖昧で、まるで存在そのものがぐらついているように見える。
ゆえに、ダスターは“存在の確立”を求めてあらゆるものを取り込み、自分自身の一部とする。
その執着の果て、かつて“超巨大サイズのダスター”が出現し、この《ステラ・シップ》を丸ごと取り込み、主砲やシステムを掌握してしまった事件も起きたという。
そして今――
そのダスターとの戦闘任務が、最下層部隊・レグルスにも下った。
「……と、言っても現地到着までには一週間もあるんだがな」
端末を閉じ、ぼそりと一人呟く。
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「どうしたんですか? 教官」
その声に振り向けば、目の前にいるのは明るい金色の瞳をした少女――ルクス・アストリア。
「ああ、ルクスか。いや……少し物思いにふけってただけだ」
危ない危ない。教官である俺が弱音を吐くなんてのは、ちょっと格好がつかない。
「そうですか? それより今日は実戦形式の模擬訓練ですよ! 張り切っていきましょー!」
「お、おう…元気だな」
明るく前向きに話題を変えてくれるルクスに、内心ほっとする俺だったが――
「ルクス……うるさい……」
静かに割り込む声。目をやれば、壁際に立つもうひとりの少女。
「珍しいな、ミラ。もう来てたのか?」
「ルクスが……どうしてもって……」
ゲームの頃からthe・無口な性格だったが、時折見せる可愛らしい仕草がファンを虜にしたステラ――ミラ・ノーチェ。
ここでも、その面影は健在らしい。
「そんなことより……教官は早く行くべき……」
「お、おう! そうだな。早くトレーニング室へ行かなきゃ、イリスとソレルが待ってるしな!」
「そうと決まれば出発ですよ〜! ミラ! 教官っ!」
模擬練習。
この世界に来てから、彼女たちの**“戦う姿”**を実際に見るのは、これが初めてだ。
一体、どんな力を秘めているのか――
俺はルクスたちの後を追いながら、自分があまりにも冷静なことに驚きを感じるのであった。
想像以上に様々な方に読んでいただけており、とてもニコニコの今日この頃です