把握
「……なるほど、状況はだいたい把握できた」
ここは“教官室”――
ステラ・シップの中でも、俺――**白椛 縁**に与えられた専用区画だ。
宇宙空間を航行可能な巨大艦。
かつてはソシャゲのUI背景にすぎなかったこの船が、今は現実の空間として俺の目の前に存在している。
ステラ・シップは、各部隊ごとに1艦ずつ割り当てられており、俺が指揮する最小規模の部隊――レグルスにも当然支給されている。
そして、このステラたちの部隊を束ね、宇宙を統治する組織が――
**宇宙国家**だ。
地球が環境汚染により居住不能となり、人類は《ユニバース・シップ》という超巨大艦を開発して宇宙へと脱出した。
ラストはその母艦を拠点に、失われた宇宙を取り戻すための戦力《ステラ・ライト計画》を展開し、各ステラ・シップを管理している。
その中で俺の部隊「レグルス」は、いわば最下層。
後方支援や雑務を任される、評価の低い部隊だ。
「……にしても、ラストにステラ・シップって……安直なネーミングセンスだな」
自嘲のように呟きながら、目の前の情報端末に映る4人のステラのプロフィールを見つめる。
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(※現レグルス所属ステラ一覧)
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ルクス・アストリア(Lux Astoria)
属性:光/中距離支援
戦術区分:光変質収束法《アストラル=レイ》
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ミラ・ノーチェ(Mira Noche)
属性:闇/空間制御
戦術区分:暗域干渉術式《グリモア=ノクス》
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イリス・ヴェガ(Iris Vega)
属性:炎/衝撃波
戦術区分:爆衝加速撃《ヴァルカニック=コロナ》
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ソレル・アルティナ(Sorel Altina)
属性:風/機動力強化
戦術区分:旋風突撃法《スターリング=ブリーズ》
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――たった4人。しかしこの4人は、現実となったこの世界で、終わることのない戦いに身を投じる「英雄」たちなのだ。
そしてその英雄たちを指揮するのが、まさかの俺。
死んだと思ったらゲームの世界。しかも責任重すぎる立場ってどういうことだ。
「胃が痛くなってきたな……はは」
想像していた“異世界転生”とはずいぶんズレてるが、
生前の社畜生活に比べれば……いや、比べるだけ無駄か。
今はただ、彼女たちとこの世界を生きることにしよう。
目的も、ゴールもまだ見えないが――
「教官! 書類整理は終わりましたか? 私たち、いつでも準備万端ですよ!!」
扉の向こうから、明るく響くルクスの声。
その笑顔がどれだけ本心なのかは、今の俺にはわからない。
だが、それでも構わない。
なぜなら――
ここからが、俺たちの“現実”の始まりなのだから。
名付け親にも関わらずステラ達の名前を覚えきれない今日この頃です…




