砲撃
「さてと……遊ぶ暇すら、くれないみたいね、ルクス」
ソレルが優雅に扇を仰ぎながら言う。
「分かってるよ、ソレル……でもさ。ソレルはどっちかっていうと支援型だよね?2体同時なんて――不可能に近くない?」
「ふふ、それでも“あれ”があるじゃない。全部、段取り通りよ」
まるで演劇の幕が上がるのを待っていたかのように、ソレルは意味深な笑みを浮かべる。
「と、とりあえず時間を稼げばいいんだね!? 分かった!!」
――《ライトニング・イリュージョン》
――《ロスト・チェンジ・ラプソディ》
ルクスとソレル、それぞれの特性が光を放ち、2体のダスターの動きを強引に封じ込める。
「ソレル! これ、長くは保てないよ! 押し返されてる…っ!」
ルクスの声には焦りが滲む。目の前の巨躯は、確実に支配力を取り戻しつつあった。
「まだ……耐えるの。あと少しだけ……」
ソレルの言葉は、どこまでも冷静で、揺らぎがない。
「って言ってもぉぉぉ!! もう本当に限界なんだけどっ!!」
光の結界が、一瞬にして崩れ落ちる。
抑えきれなくなったダスターの拳が、ルクス目がけて迫っていた。
「し、しまっ――」
(間に合わない――!)
「やっとね。……頼んだわよ、“教官”」
その一言は、最初から仕組まれていた合図だった。
「おう、やっと俺の出番か……じゃなくて!」
響き渡る声は、母艦の通信ではなく、生の声だった。
「全武装展開――ステラ・シップ《レグルス》搭載・対ダスター用奥義」
教官が宇宙に降り立ち、両腕を広げる。
「――《《シューティング・エンド》》!!!」
砲撃と光の雨が、空間ごと穿つ。
星すらも貫かんとするその光が、2体同時に襲いかかるダスターたちを包み、彼らの動きを止め――
次の瞬間、衝撃と共に、闇はすべてを抱えて崩れ落ちた。
激アツ展開