分断
「2体同時……こういう特性、敵の“ボス”って感じだな……」
イリスは少し呆れたように呟きながらも、しっかりと迫る闇に構えを取る。
「まぁまぁ仕方ないよ、イリス~。こっちは3人、バランスでは勝ってるって!」
明るく笑うルクス。緊張感をやわらげようとする彼女なりの気遣いだった。
「2人とも、来るわよ――」
ソレルの声が落ちるよりも早く、2体の融合型ダスターが同時に腕を振り下ろしてきた…
振動すら伝わってきそうな勢いで空間が揺れる。
「おおっ!力比べか!? 望むところだぜ!!拳なら誰にも負けねぇ!!――《バースト・スマッ……ん、えっ!?!?あれぇぇぇぇぇ!!」
イリスの拳がぶつかる寸前――
突如、空間の一部がゆがみを見せ、彼女の身体が吸い込まれるようにして宙に跳ね飛ばされた。
「なっ、なに!? 空間歪曲!? 重力異常!?!?」
ルクスの顔が蒼白になる。
「い、イリスがぁ!! ど、どうしよう!? ソレル!!」
「……まずいわね……引き裂くような引力フィールド。ダスターの特異個体による“範囲分断型”スキル……」
ソレルの顔からは、さすがの余裕も消えていた。
「助けに行きたいのは山々だけど――どうやらそんな時間、与えてくれないみたいね」
2体のダスターが、なおも拳を振り上げて構えている。
「ルクス、今は目の前の敵に集中よ……冷静に、冷静に戦うの」
「う、うん……分かった……!」
小さく震える指先をぎゅっと握り、ルクスはアストラル=レイを構える。
「待ってて……イリス。今、絶対に戻ってくるから……!」
分断された戦場、狂った空間、そして追い詰められた2人――
ステラ達の戦いは、さらなる局面へと進み始める。
合流させた意味isなに…?