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ステラ・ライト  作者: しがみ
幕開け
16/21

歪んだ矛と盾

「……何故だ……?」


俺――白椛縁は、静寂の艦内でモニター越しに戦場を見つめながら、心の中に溢れる疑問をなんとか押し殺そうとしていた。


だが、無理だった。

明らかにおかしい。


「何故イリスの《バースト・スマッシュ》は飲まれて、ミラの《ダーク・オーダー》は通った……?」


画面に映る彼女たちは、確かにゲームの中で育てていた“ステラたち”だった。

だが――何かが違う。


この世界は、元々俺がプレイしていた“ステラ・ライト”と同じ世界のはずだ。

そう、あのゲームはキャラを育て、技を覚え、あとはオートで戦闘が進む周回ゲーだった。


放っておいても育つ。

見てなくても勝てる。

だからこそ人気があった。


手に入らないアイテムも、フルオート周回していれば少しずつ集まる。

やがて強化し、さらに楽になる――そんなゲームだったはずだ。


それなのに。


「なのに……なんで“ルール”が通用しない……?」


本来、あの世界では“同じ属性の攻撃は、敵に効かない”という『絶対の法則』が存在していた。


あの黒い異形、《ダスター》たちは明らかに“闇属性”。

それに対してミラが使った《ダーク・オーダー》も“闇属性”の技である。

だったら――効くはずがない。


けれど現実は違った。


イリスの“炎属性”の技、《バースト・スマッシュ》は、黒い闇に呑まれて無力化されて。

一方でミラの《ダーク・オーダー》は、あろうことかその闇を上書きするように支配し、呑み込んだ。


「……あの技は、レベル1……」


そう。それに…どちらの技も、元々のゲームでは初期から覚えているはずの、なんの変哲もない低レベル技だった。


――だというのに、

あの破壊力。

あの演出。

あの……異質さ。


「……この世界は、本当に“ゲーム”と同じものなのか?」


冷たい汗が額を伝った。


この世界は、ただのゲームの写しではない。


誰かが改変した。

歪められた。

もっと残酷に、もっと美しく、もっと……絶望的に。


この先、俺は“知っていたはずの世界”のルールに、何度裏切られるんだろうか――。



最近手持ち無沙汰の主人公君を無理矢理入れたかったんです…

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