無鉄砲な秩序と黒炎
「みんなには――内緒、かな」
静かに、そして寂しげに微笑んだミラの言葉が、星々の光の届かない空間に消えていく。
燃えるように黒く染まったグリモアのページ。
その焦げ跡から、黒いオーロラが、ミラの全身を優しくも呪うように包み込む。
「っ……流石に……キツイ、……」
全身から力が削がれていく中、ミラの目だけは静かに光っていた。
その瞳が語るのは――覚悟。
「――《ダーク・オーダー》」
その名が紡がれた瞬間、漆黒の奔流が宇宙の果てへと解き放たれた。
それはまるで“秩序なき闇を呑み込む、もう一つの闇。
「イリス、なにか来るよ!! 避けて!!」
ルクスが悲鳴のように叫ぶ。イリスの背後へ、音もなく迫る黒の塊。
それはまるで“新たな敵”のように見えた――しかし。
「……大丈夫だ」
イリスが振り返り、静かに確信をもって呟いた。
「これは……ミラの……決死の祈りだぜ!!」
次の瞬間――
黒い奔流はまるで意志を持つかのようにイリスの身体をすり抜け、ダスターの群れへと飛び込んだ!
「な……なんなのこれ……!?」
闇のダスターたちが、別の“闇”に飲み込まれていく。
それは浸食でも融合でもなく、ただ“無へと変わる”圧倒的な支配。
ミラの“禁呪”ともいえる力、《ダーク・オーダー》が、敵の存在そのものを呑み込んでいく。
「こ、これは!?」
ルクスの瞳が見開かれる。
「さぁな!でも!」
イリスが笑みを浮かべ、拳を再び熱し始める。
「ミラがうちらを守ってくれてるのは確かだぜ!!」
「それに……この“闇に呑まれた”状態のダスターなら……なんとなくだが、――攻撃が通じる気がする!!」
燃え上がる拳。黒きオーラが炎と混じり合い、まるで“神話の一撃”のような圧を帯びる。
「――《バースト・スマッシュ=イリュージョンカスタム》!!」
その拳はもはや“爆発”ではなかった。
黒炎を纏い、まるでミラの祈りと共鳴するように歪んだ時空ごと殴り砕くような破壊力となって、ダスターの中心へと叩き込まれた。
宇宙の暗黒を焼き裂き、闇の中に一瞬だけ“光”が灯る。
「……よし」
遠くで、ミラがその様子を見ながら息を吐いた。
「少しだけ……役に立てた、かな……」
力を使い果たし、ふらつく身体。
だがその表情は、穏やかな満足に包まれていた。
こういうタイトル名カッコよくて好きです