突撃
残花……良きかな良きかな
「いた! 行くよイリス!!」
ルクスが勢いよく声を上げる。
「おおっ!任せろ!! うぉぉぉぉ!!展開――ヴァルカニック=コロナ!!」
迸る紅蓮の双拳を展開しながら、イリスが叫ぶ。
「ルクス! 掴まれ! うちに考えがあるぜ!!」
「へっ? わ、わかった! イリス! でも……無茶はしないでねっ!?」
ルクスが不安げに応じるが、その目には信頼の色が浮かぶ。
「ダスターの群れ……ぜってぇまとめて焼く!!」
イリスが笑みを浮かべると、火花のような熱が一気にほとばしる。
「真ん中に突撃させてもらうぜ!!――《バーニング・ロケット》!!」
燃え上がる炎が両拳から噴出し、まるで推進器のように一気に加速!
イリスとルクスを乗せたその紅蓮の閃光は、暗黒の宇宙を切り裂いていく。
「ちょ、ちょっと待って! いきなりすぎるよ!? 展開、アストラル=レイ!!――《ライトニング・イリュージョン》!!」
ルクスの放つ光が周囲に閃光を放ち、敵の目を惑わせながら二人を導く。
「でも――イリスが信じてるなら、私もやるよ!!」
ルクスの瞳に迷いはなかった。
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一方その頃――
「さて…あちらも盛り上がってるわね」
ソレルが、冷たく艶のある微笑みを浮かべる。
「では、そろそろ私も楽しみましょうか」
彼女が静かに扇子を掲げた瞬間、風の渦がその身を包み始める。
「展開――スターリング=ブリーズ」
そして、そっと囁くように詠う。
「花朧
時はすぐれど
今はまだ
残花を謳う
儚き想い」
「――《クリスタル・マジック》」
瞬間、ソレルが四人に分裂する。
その姿はどれも本物のようで、幻影と現実の境界が一瞬で揺らぎはじめる。
「さぁ――幻影の歌を始めましょう。精々、惑って頂戴ね?」