作戦
本来なら、接敵まであと一週間はあったはずだった。
だがダスターたちは、こちらの予測を上回る速度と軌道で接近してきている――
この《レグルス》を守れるのは、俺たちしかいない。
「――というわけで、作戦会議ってやつだ。鉄板ネタだな」
「てっぱん? なんだそれ、焼きそばでも作るのか?」
イリスが小首を傾げる。
「……明らかに違うでしょ。イリス。ていうか、教官……時間、ないんじゃないの……?」
ミラがいつも通り、眠たげにぼそりと突っ込んでくる。
「こほんっ! はいはい、それより話を戻しましょう、教官!」
ルクスが咳払いして場を仕切る。
「まずはダスターの数と配置状況を確認しましょう!」
「そうねぇ……データによれば、小型のダスターが約50体。そして……今回の“中核”と思われる中型が2体。中型は、前回と同じならかなりの硬さと火力を持ってるはずよ」
ソレルが紅茶を手に、優雅に状況を告げた。
「ふむ……この4人で相手するには、正直厳しい構成だ。特に、完全な近接型がイリスだけってのは気になるな。数で押されれば、特攻は自殺行為に近い」
「だったら、私が行きます!」
ルクスが即座に名乗り出る。
「私の《ライトニング・イリュージョン》なら、視界を遮って混乱を起こせます。接近戦も……まぁまぁ自信あります!」
「よし……じゃあ、ルクスとイリスで小型の掃討。中に入り込んで殲滅してくれ」
「了解ッ!」
「りょーかいっ!」
「……そしてソレル、お前は中型ダスターの引きつけと牽制を頼む。相手の動きと力の分散を図ってほしい」
「ふふ……2体を相手にするなんて、なかなか過酷な依頼ね。けれど――
私も、唄いたい詩がたくさんあるの。……そのためなら、喜んで引き受けるわ」
「最後に、ミラ。干渉でルクスたちの援護を頼む。特に、持続性のあるバフや妨害を」
「……問題ない。展開済みの術式もいくつかあるし……必要なら、範囲干渉も可能……」
全員の役割は決まった。
早すぎる敵の接近に、驚く暇も、怯える余裕もなかった。
けれど、止まる理由なんてどこにもない。
この空の果てに生きると決めたからには――
「……行くぞ、全員。これが、《レグルス》を守るための第一戦だ」
俺は、無限に広がる宇宙を背に、目の前の現実をしっかりと見据えた。
すいません、ほとんど2日サボった挙句まだダスター出ませんでした。次回は出します(仮)