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第15話「一夜限りってのも……あるらしい」

第15話「一夜限りってのも……あるらしい」


翌日のランチタイム。

亜紀といつものカフェ。

「……あのさ、亜紀」

「ん?」

「“一夜限り”ってさ……実際、あるもんなの?」

亜紀、フォーク落とす。

「ちょ、待って!?

昨日まで“キスってなに?”って言ってた人が、

急に“ワンナイト”ってどういう進化なのよ!?」


美里、目を伏せながら

「いや……別にそうしたいってわけじゃないよ?

ただ……そういう関係で、

ちょっとでも満たされることって……あるのかなって」


モノローグ(美里の内心)

(昨日のジムで、自分でも引くくらい気持ちが高ぶった。

理性も、服も、言葉も、全部がぐらついた)

(でも──

“そのあと何も起きなかった”ことで、

逆に気づいた)

(私、多分、“触れられること”じゃなくて、

“ちゃんと見てもらうこと”を求めてたんだ)


亜紀のリアル回答

「正直に言うよ。

“寂しさ”とか“欲”とかで、そういう関係になる人もいる。

でもね、美里。

あんたがそれやったら、

絶対あとで心ズタズタになると思う」

「……だよね」

「だって、あんた“抱かれる前に心で抱かれたい”タイプじゃん」


夜、自室。

ふと鏡を見る。

昨日着た勝負下着は、たたまれて引き出しの奥にしまわれている。

「一夜限り……じゃ、私は変われない」

「私が欲しいのは、**その夜を越えた“次の日の朝”**なんだと思う」

「……ちゃんと、“隣にいてくれる人”がほしい」


ノート(もはや人生の方針ノート)

✅ 「一夜限り」の誘惑:理性により踏みとどまる

✅ 冷静に考えたら:「私は“選ばれたい”んじゃない。“選びたい”んだ」

✅ 次のステップ:

→“誰かの隣にいる未来”を想像できる人と出会いたい

第16話「心で抱かれればいいんだと確信した夜」


深夜0時。部屋は静か。

ベッドの中、スマホの灯りだけが顔を照らしてる。

SNSのタイムラインに流れる、

友人の赤ちゃん写真。

夫婦の記念日ディナー。

「#おやすみなさい」タグ付きのカップル写真。

「……私も、“誰かと一緒に寝る”って、

こんなに尊いことだったんだって、

今ならわかる気がする」

(……いや、そういう意味じゃなくてさ)


モノローグ(穏やかに、でも切実に)

(手を出されたいわけじゃない)

(“ちゃんとした理由がないと、布団に入ってこれない人”と、

それでも一緒にいられる夜がほしい)

(“何もしないよ”って言われても、

“何かあってもいい”って思えるような信頼。

そんな夜が──いつか、あったらいいのに)


ぽつり、つぶやいた

「誰か……一緒に寝てくれる人、いないかな」

(ただ寝るだけ。

あったかい背中が、そばにあるだけで、

私きっと泣くほど安心する気がする)


翌朝、ノート(もはや“願い事ノート”)

✅ 昨夜の結論:「心で抱かれれば、それで満たされる」

✅ 今の願望:何もせず、隣で寝てくれる誰か

✅ 条件:

・無言でも居心地いい人

・起きたとき、朝ごはん一緒に食べたいって思える人


美里の朝メッセージ(亜紀にLINE)

美里:

「誰かとただ、寝たい。何もせずに、寝たい。変かな?」

亜紀:

「それな。たぶん今のあんた、

“性欲”じゃなくて“信頼欲”のかたまり」

第17話「添い寝ならどうだ。それなら、自信ある。」


その夜。

仕事も終わって、風呂も済ませて、

冷蔵庫には食べかけのプリン。

パジャマ姿でソファに寝転んで、天井を見上げながら、

美里はふとつぶやいた。

「添い寝なら、できる気がするんだよね……」


モノローグ

(恋人とか、関係とか、まだよくわかんないし、

ドキドキしたら心拍数だけで倒れそうだけど)

(“隣でただ寝る”ってだけなら、

むしろ誰よりも安心させられる自信がある)

(……相手が寝息立ててくれたら、

それだけで私、満足かもしれない)


翌朝・図書館

久しぶりに来てみたら、いた。彼。

彼も美里を見つけて、小さく手を上げる。

「こんにちは。今日も、静かに過ごしたい日ですか?」

「……うん。静かなの、いいなって思って」


本を読みながら、ふと彼がつぶやく

「なんか……最近、よく眠れなくて」

「え? なんで?」

「わかんない。考えすぎかな。

……隣に誰かいたら、ぐっすり眠れそうなのにって、

ちょっと思ったりして」

美里、ページをめくる手が止まる。

(……今、私が必要なセリフ、言った?)


帰り道・夕暮れの駅前

「……ねえ」

「ん?」

「もしさ……」

「うん」

「“添い寝”だけだったら、誰かと一緒に眠れるって、思う?」

彼は少し考えてから、笑って言った。

「うん。そう思う。むしろ、それが一番安心かも」

「……よかった。同じこと、考えてた」


ノート

✅ 進展:言葉にしなかった気持ちが、

なぜか“同時に”伝わった

✅ 自信:恋は無理でも、“寄り添う夜”ならできる気がする

✅ 次のテーマ:「眠りたいとき、隣にいてほしいと思える人」

第18話「添い寝してくれそうな人、見つけたんだけど──」


日曜の午後。駅前カフェ、いつもの席。

亜紀がアイスラテをかき混ぜる音の中で、

美里がそっと切り出す。

「……添い寝してくれそうな人、見つけたんだけど」

亜紀、スプーンの手が止まる。

「は?」


会話:美里の説明、亜紀のツッコミ

「いや、ほんとに何もしないって感じの人でさ。

この前、図書館で隣に座ったときに、

“眠れないとき、誰かが隣にいたら安心するかも”って言ってて──

なんか、それ聞いてすごい……グッときちゃったんだよね」

「……それで、“じゃあ添い寝どう?”ってなるのが美里クオリティよね」

「うん、自分でもびっくりしてる。

でもさ……わたし、たぶんあの人となら、

何も起きなくても安心して寝られる気がするんだよね」


亜紀、真顔で確認

「で? それって、恋?」

「……わかんない。恋っていうより、

“隣にいてくれたら嬉しい人”って感じ」

「美里、それな。

今のあんた、恋じゃなくて“回復”求めてるんだよ」


モノローグ:美里の内心整理

(恋とか愛とか、まだ怖いけど──

“自分のことを見てくれてる”って感じられる人と、

同じ空気の中にいたい)

(それって、案外“添い寝”みたいな関係から始まるのかも)


ノート(ほぼ感情の地図)

✅ 添い寝相手候補:図書館の彼

✅ 状況:恋ではない。でも信頼したい

✅ 状態:心の温度を戻してくれる人、かも

✅ 次のアクション:

→ 無理に進まない。でも、「隣にいたい」って素直に言ってみたい

第19話「信じたい。でも信じられない──それでも誰かと眠りたい夜」


夜、ひとりベッドの中。

スマホの通知も鳴らない。

ただ、天井を見上げるだけ。

(ほんとに……添い寝だけで終わる関係なんて、あるのかな)

(相手が優しくても。口では「何もしないよ」って言ってても。

心のどこかで期待してるんじゃないの?

……“その先”を)

(私、きっと“心”だけで繋がれる関係なんて、

信じたいけど、信じられてない)


モノローグ:過去の記憶がよぎる

“美里って、意外とガード固いよね”

“もうちょっと素直になったらいいのに”

“そんなに期待してないって、信じてよ”

──あのとき、私は信じた。

でも、結局、触れられたのは体だけだった。

「……だから、もう“信じる”のが怖いんだよ」


翌朝、亜紀との会話

「“添い寝から始まる恋なんてない”──

それが正しいって思ってたら、あんた今こんなに悩んでないでしょ?」

「……そうかも」

「美里は、恋を始めたいんじゃなくて、

“ちゃんと信じられる関係”を知りたいだけなんだと思うよ」


ノート(今日は、書くのに時間がかかった)

✅ 恐れ:信じて裏切られた経験が、まだ疼いてる

✅ 真実:それでも、誰かを信じてみたい気持ちは残ってる

✅ 結論:添い寝から始まる恋は、たぶん“存在する”

→でもそれは、“野獣じゃない人”としか、絶対に成立しない

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