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19. God Save The Queen -神の前で、女王も庶民も違いがあるものか -

「たーまやー」


 どどーん! と大きな打ち上げ花火。プリズンに居た時から研究していた、魔法スクリプトです。タマとして先公を入れました。まさしくコレがセンコウ花火。すごい、座布団どころか放送からカットされそうなレベルのダジャレを、実行中です。


 もう一人の私は、もっと情緒というものがあります。10万だか100万程度のニンゲンが滅んだだけで、心を痛めています。アレは、ニンゲンだからニャー。仕方ないニャー。

 どうやら、私の暗黒面だけが分離して、こっちの私になった様ですね。ダークマター、反物質ニャア、それが私です。くくっ、かっこいい。


 軍の最終兵器に制式採用された我々ですが。暇で仕方ない。だって、この国にはもう敵が居ないのだから。そろそろ廃棄されちゃいますかねえ?

 しかし、いつ有事が訪れるとも限らない。魔法教官の講習を受けていたのです。それで、その教官、つまり先公が腐ったミカンである私に、不遜な態度をとったので、お仕置きです。アレも、猫魔獣なので死んでも平気ですからね。バラバラに砕け散ったので、復活までに数日かかりそうですけど。


「なんでお前、言った通りにやらねえんだ? 板書もしてねえし」


 とかなんとか言い出して、授業中だというのに、私に張り付いて延々と説教。あのな? お前らなんでも2進数だけどな? こっちはIPアドレスだって10進数じゃねーと分かんねーのよ。IPv6の16進数表記だって、よく分かってないのよ。猫耳少女の脳は、お前ら猫頭達みたいにマシン語を生で理解したりしねーんだわ。


 なんかー、むかーしの中学生日記な記憶が甦ってしまったのでー、ついー、やっちゃいましたー。私は悪くありませーん、お刺さっただけでーす。


 などと悪行を重ねても、こちとら最終兵器ヌッコです。プリズンに戻される事はありませんでしたがー。プリズンには慰問で訪れる事に。


 私達が収監されていた時も、年に1回くらいは慰問でお笑いや歌手が訪れていました。まさか、逆の立場になるとは。猫型魔獣は優秀なので、ちょろっと練習すれば大概の事は出来ます。ガールズバンドを組んで、ステージで演奏する事にしました。練習がかったるいので、すべて3コードのパンクのみです。勢いだけで10曲程作詞作曲しました。バンド名は、アニメコラボしてるガールズバンドにあやかって「タマナシタマアリ」デス!DEATH!


「ライブハウス、プリズンへようこそ! お前ら脱走する準備は出来てるかーい!?」


 … … … 。


「おい、プリズン。大人しいな? こういう奴をどうすればいい?」


 … … … 。


 コールアンドレスポンスが成立しません。こうなる事は分かってはいましたが、つらいです。何故ならば、慰問公演の鑑賞中は無言の絶対ルールなので。一言でも喋ると即射殺デス。DEATH。

 えー? コロナカですかー? 私は2018年頃に日本を旅立ったのですが、コロナカの日本に転生したことがあるのです。何故か爆ぜたハズの元の私のカラダの中に。あれー? どういうことー? ま、それはともかく、あの時期のロックコンサートは、こんな感じで、実につまらなかったのを思い出します。

 観客もツライですけど、ステージ上もツライ。はじめてWeb会議した時に、みんながマイクミュートしてるし、当時はまだWebカメラが一般化しておらず顔も見えないから、ボケてもスベったのかどうかすら分からなくて、不安になった事まで思い出しちゃいました。


「やってられっかー!! むっきー!」


 ロックなんだぜ? パンクなんだぜ? 反逆ののろし! ギターをアンプにぶっ刺し、ファイアボール! 燃えろ!燃えろ! 地獄の業火で監獄を焼き尽くせ!


 私は悪くない。お刺さっただけです。


 仕方無いですよ? 楽器破壊と炎上は、ロックの様式美なので。宇宙の真理ですよ? まあ、令和のライブハウスでやると、ただの消防法違反ですけどね?


 ついでに、ブタ獣人をステージに引き摺りあげて臓物ぶち撒け、ニワトリ鳥人のクビを刎ねて生き血を振り撒き。ロックでパンクですから。これも様式美です。最後に、おしっこをしようとしたら、それは猫頭達に止められました。ただしそれは倫理感からではありません。MPが穢れるからダメ、と。MPには穢れの概念まであるようです。


 恩赦でも釈放されなかった様な、小物犯罪者達は、ただブルってるだけ。混乱に乗じて脱走するヤツなんて皆無。プリズンといえば養豚場。ブタに乗って大脱走も様式美なのに!


「ブタに乗って大脱走ー! コレがホントのトンズラー!」


 見本を見せてあげましたよ。間違って極悪なブタ魔獣の群れに乗っちゃいましたけど。


 いえい! 国家反逆罪成立デス! DEATH!!


 それでも、最終兵器は廃棄してもらえませんでした。ただしー。


「おはぎが、こしあんになったにゃ」


 つまらん制裁をされました。いつもは温厚な猫頭のアジが激怒です。なお、彼女は貴族だそうで、なんとこの国では珍しい苗字まで持っているのです。

 マ・アジ、それが彼女のフルネーム。ふざけているワケでは決してありません。ここは異世界なのです。高貴な由来があるそうですよ。ツボが好きそうな名前ですね。

 なんと、ホッケも貴族でした。彼女にも名字があります。フルネームは、シマ・ホッケ。いやマジで? 2頭で私を担いでない? 彼女は実家が漁師で、弩級戦艦の操舵をしたのは彼女です。あー、そうかー、シマだもんなあ。


 この惑星の人類が滅んだとしたら、原因は「こしあん」。前代未聞の聖書が誕生しますね。

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