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第6話

 普段なら感情を優先して斬り捨てるのだが、せっかくの上物。この男と今ここで斬り合うのは勿体ないと思っていたので話を聞くことにした。あえて格上と斬り合うのも好きだが、もっとこの世界に馴染み、せめて前世並みの実力を取り戻してからのほうが楽しめるからな。

 ようやく剣を鞘に戻した俺を見て男は続ける。


「とんだやんちゃ坊主だな。だが声をかけといて悪いが、元々ここには別件で来てるんだ。1時間後に三階にある職員用の応接室にきてくれ。

 ……いや、お前を放置してると碌なことにならなそうだな。

 旦那。悪いんだが暫くの間、こいつの時間つぶしに付き合ってもらえないか? もちろん、ただとは言わない。」


「ふん。俺はお前みたいにがめつくない。それくらいやってやる。」


「すまねえ、恩に着るよ。」


 俺を放置して二人で話を進めると、男は階段を上りどこかへ消えていった。てかあいつ、普通に歩いているだけなのに以上に歩くのが早い。どんな仕組みのなのか、早送りの映像を見せられているようだ。正直見ていて気持ちが悪い。


「相変わらず気持ちの悪い動き方だ。」


 おっさんも同じことを思っていたらしい。


「さて坊主、俺はこの冒険者ギルド第八支部の支部長ダルマだ。お前の名前は登録証を見たから分かるが、センカでいいのか? それともトウドウか?」


「センカでいいぞ、ダルマの旦那。それにしても見かけに合わず旦那は偉いんだな。なんなら冒険者のほうが似合ってそうだ。」


「……言っておくが、俺のことを旦那と呼ぶのはあいつくらいだぞ。まあいい。

 俺も冒険者上がりだからな。元々はそっちが本職だ。」


「へえ、それは納得だな。ところであの男は誰なんだ? 尋常じゃない強さだったけど、上位ランクの冒険者とかか?」


「違うぞ。あいつは第三支部で支部長をしているジン・クラフト。上位ランクの冒険者の中でもジンと戦闘が成り立つ存在は数えるほどしかいない強者だが、冒険者ではない。」


 いやそんな強いなら冒険者やれよ。まだ二人しか会っていないが、冒険者ギルドの職員ってこんなに武闘派揃いなのか?

 見る限りダルマの旦那もジンほどじゃないが相当の実力者だ。正直見ていると斬りたくなってくる。


「言いたいことは分かるが、俺やジンのような存在は基本的に例外だ。まあ、やつが支部長務めている第三支部は例外しか存在しない特殊な支部だがな。

 むしろセンカ、その年でジンと渡りえているお前の方が、俺からすると尋常ではない。一体どこでそんな実力を身に着けたんだ?」


「前世。」


「答える気はないか…… まあいい。冒険者ギルドとしては実力のある者を歓迎する。問題を起こさない限りはな。」


 全然信じてもらえない。しかも信じてもらえないうえに釘を刺される。

 

 そのままダルマの旦那にギルド内を案内してもらうことにした。この時間は冒険者達が比較的に少ない時間らしいが、地下の修練場で模擬戦をしているのが何人かいるらしい。せっかくなので見に行くことにする。

 

 下に降りると一回よりもさらに広い空間が広がっており、それなりの人数が模擬戦を行っている。模擬戦には刃引きしていない武器を使用しているようで、かなり激しく流血している奴もいる。

 あれが許されるならば俺も混ざりたいのだが、模擬戦でそこまでやるのがこの世界の常識なのか?


「右奥を見てみろ。ここには急患用の医療所が備えついている。ギルド専属の回復魔術に特化した魔術師が待機しているから、即死さえしなければなんどかなる。」


 俺の見ている方向から察したのか横から補足してくれる。


「へー、魔術ってのは大したもんだね。即死さえしなければ直せるなんて。旦那、俺も模擬戦に参加できるのか?」


 旦那が凄く嫌そうな顔をしてこちらを見る。


「……お前はダメだ。ジンに言われた通り大人しくしていろ」


「ケチ臭いこと言うなよ。俺だって冒険者だぞ。ここを使う資格はあるだろ?」


 おそらくルーキーはここを使って戦闘訓練をするのだろ。まったく同じ立ち位置である俺に使うなとは言えないようだ。


「相手が務まるような奴はいないぞ」


「別に構わない。」


 旦那が諦めたようにため息をつくと、腕を組んで壁によりかかる。好きにしろということらしい。

 許可が出た俺はさっそくこちらに向かって歩いてきた四人組に目をつける。男女二人ずつで何やら楽しそうに話をしている。


 そういえば、模擬戦はどうすればできるのだろう? 声をかけるのか? 

 突然「俺と戦わないか?」なんて声をかけたら不審がらないないだろうか? 改めて考えるとナンパみたいで恥ずかしいな。


 悩んだ末、声をかけるのが恥ずかしくなった俺が出した答えは、目の前の四人組の左腕を斬り落とすことだった。


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