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戦力外通告と少年

主人公がだんだん強くなる小説じゃなくて強い主人公が戦えなくなった後の日常に焦点を当てたらどうだろうと思って書いてみました。

「どういうことだよ!!」


1人の男に向かってそう叫ぶ1人の少年がいた。彼は帝国軍に所属している帝国魔法士団のリン・フランマと言った。リンは炎魔法を得意としていて、団の中でも一際目立つ魔法士だった。そんな彼が今叫んでいる理由。それは……


「なんで俺が戦力外通告を受けてんだよー!!!」


戦場に赴きはや5年。歳は最年少の14歳だが戦の神童とも言われた戦力の要でもあるリンが戦力外通告を受けることなど無いと彼自身もそう踏んでいた。


「リン、お前にはたくさん助けられた。頼もしい私の仲間だ。願わくば私はリンとまた戦場で助け合っていきたかった」

「なら…っ!」

「言っただろう!それは私の願いだと!!…お前が一番分かっているだろ。魔法が使えない今のリンはただの足手まといってことを」


厳しい言葉をリンに浴びせる男は帝国魔法士団の団長のレイベル・トニトルス。レイベルは帝国一の魔法士でどんな時も正義を貫く勇敢な魔法士だ。


「…リン・フランマ、長い間の汝の勤め大儀であった」


レイベルは帝国魔法士団、団長としての彼との最後の言葉を言い渡した。


「そんな!!俺はまだ戦える!ふざけんな!!」


長く一直線に結われた黄金色の髪を揺らしながら振り向かず部屋を出ようとする。


「待てよ!レイベル!俺はまだ納得出来てな…」

「分かってくれ!私だってリンと…、いや何でもない。とにかくそういう事だ」


レイベルはリンに掴まれた肩にある手を退け行ってしまった。

そして、ぽつりと静まった部屋にこんな言葉が放たれた。



「…俺はどうすればいいんだよ」



──約1ヶ月後

「はい、これ今週の税紙ね。よろしくー」

「はいはーい、お疲れさま〜」


扉を開けた奴に税紙を貰ってるのはリヒト・ウラノウス。一言でこいつを表すとしたらリヒトはチャラい。後ろ髪の上半分を縛っている髪型をしている。髪を結うのは分かる。だか、下を出すのが分からない。邪魔だろ、それ。


俺はなんでこんな奴と一緒の仕事なんだよ…。


「はぁああ……」

「リンちゃん、どうしたの?おつかれ?」


顔を覗いて頭を撫でられる。


「撫でてんじゃねぇー!それにリンちゃんって呼ぶな!!」

「えぇー、なんで?リンちゃん可愛いからさ」

「はぁ!?俺は男だぞ!馴れ馴れしくすんな!!」


「ふふ、そんな所が可愛いんじゃないかな?」

「フィルまで俺を馬鹿にするのかよ!!」


フィル・シュトゥルム。落ち着きのある性格で頭が切れる。


「馬鹿になんてしてないよ、ただ純粋にリンが可愛かっただけさ」

「…うるせぇよ」


俺がここに来てから約1ヶ月が経った。会った時からずっとこんな調子だった。

俺はこんなことをしている場合じゃないんだ。


「俺はこんな地下でお前らと話している時間はないんだよ!!ここから出せぇー!!!」


"──炎魔法 特上級魔法 火炎牢獄地獄──"


こんな所すぐに出でやる!だって、俺は戦の神童だぞ!!


「燃え尽きろッ─────!!」


「ぷっ…あはは!いくらリンちゃんでも無理だよ」

「や、やってみなきゃ、わかんないだろ!?」

「ふふ、リンもそろそろ諦めなよ。だって──」


『魔法封印されちゃったんだから』


2人の声が揃う。これは事実だ。俺は魔法を封印されてしまった。

俺だって上級騎士なら剣で十分戦える。国の最高魔法士団のそこでは魔法が使えない落ちこぼれ()はお荷物だ。


「…わかってるよ」


今日も魔法は封印されたままだ。

レイベル、俺はいつアンタとまた戦えるんだろうな。


「落ち込みわかりやすッ!」

「まあまあ、リンはまだ14だから受け入れられないんだよ」


ごにょごにょと話しててうるせぇ…。


「そっか!じゃあ、リヒトくん特製クッキーをあげよう!これで元気だして」

「なんだ、これ?」

「えぇ!?リンちゃんクッキー知らないの!?」


知らない、と答える。


「なら、食べなさいッ!」

「…んぐッ!!」


急に口の中に入れられたが、食べてみると甘くて美味しい。


「うまッ!!」


俺はリヒトが作った小さな包装紙に包まれたクッキーを貰い、自分のデスクに戻る。

そうすればこの仕事場の上官であるグレイ・ジュベールは俺に話しかけた。


「良かったな、リン。今日の仕事もちゃんとやれよ?」

「うぐ…、わかってる…」


敵である国の魔法士に魔法を封印された俺は帝国徴税官として働いている。

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