98話 ハンターギルドで駄弁ります
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1月19日火曜日、今日はどうなってるだろうなあ。今日までもハンターギルドに何度も通っていたんだけど、まだだって言ってたからさあ。そろそろじゃないの? 知らんけど。
やることが無いから自由行動にしてます。戦闘をしたい子は冒険者業をやってるし、買い物したい子は商業ギルドに行ってるし。俺? 俺は情報収集をしてました。クアンサまでのね。
一応今のペースだと1年位かかりそう。何にも無ければ半年もかからずに着くんだけど、そんな事にはならんでしょ。今回みたいに盗賊案件があったり大量発生があったりするんでしょ? 知ってる。
で、今日も今日とて情報収集ですよ。もう調べつくした感があるんだけどなあ。宿屋はあれが仕様らしい。泥棒が入るなんてことは稀だそうだ。今の所、この町に来て毎日賊が来てるんだけどな。
何でか知らんけど、泥棒が入ってくるんだよなあ。鍵も閉めているのに。全く休める気配が無い。少しは休ませてくれないかなあ。仕方がないで済まなくなってくるんだけど。
一応休めてはいるけどな。眠ることは出来ている。起きている時間が長いけど。ちょっと辛め。今の所何とかテンションを保てているが、そのうち鬱になりそう。マジで辛め。
さあて、今日もハンターギルドにやって来たぞ。今日は何か報告が来ているかなあ。昨日は纏まり次第報告しますとの返事を頂いたので、情報は揃ったんだろう。後はまとめて貰うだけだ。
「すみません。8番です」
「8番ですね。少々お待ちください」
いつものやり取り、ここでまだだった場合は、雑談をして昼には帰るんだけど。今日はどうだろうなあ。そろそろだと思っているんだけど。
「8番さんですね。申し訳ありません。情報をまとめるのに時間がかかっております。今日中には終わらない予定です」
「そうですか。しょうがないですね。また明日様子を伺います」
「そうしていただくようにお願いします」
「それでですね。今日もまた情報が欲しいんですけども、いいですか?」
「はい、どうぞ」
「指名手配をされている盗賊団ってどの位あるんですか?」
「そうですね。この町では今は3件ですね。少し古い情報になるんですけど、指名手配の効力は1年なので、もうすぐ減るとは思うんですけど」
「大体の規模とかは解りますか? あと目的も」
「3つともカドラル王国の先兵だと言われていますね。活動時期が被っていることと、ランデルでの戦争が終わってからめっきりみなくなりましたから、恐らくそれで合っているとは思います」
「移動したという事ですか?」
「恐らくもっと奥に行ったんだと思いますよ。いつもの事ですので。王都にドンドンと寄っていくんですよ」
「何故に王都に?」
「色々とあるとは思うんですけどね。恐らくですが、王都が混乱すれば付け入る隙が産まれるとでも思っているんじゃないかと。それはその通りですし」
「戦力は地方にありますよね?」
「王都からの貸出兵も多いんです。特にランデルなんか国境の重要都市には多いですよ。それが滞るだけでも士気が下がりますからね。ただでさえ前線に行くと士気が下がるんですから」
「なる程。貴族との何かしらもある感じですか?」
「非戦派と繋がりがあるという事ですか? 流石にそれは無いかと。内通している貴族が居ないとは言えませんが、滅ぼすまで押し込まれるような事はないですからね」
「……何故に無いと言い切れるんですか?」
「所詮は同じ帝国だったからですよ。戦い方から何から戦争のせの字も忘れてしまった人間の集まりです。何か劇的な変化が無い限りは大丈夫だと思いますよ」
「貴方がそんな事を知っているというのが、俺にとっては不自然なんですが?」
「これでも昔はエリートだったんですよ。地方の学校も出てますし、ちょっと色々とあってここで働いてますけど、昔はエリートだったんですよ」
「……ランデルにも学校は無かったと思うんですけど」
「ランデルが重要都市になったのは200年前ですよ? そもそもそこまで重要な都市では無かったですし。国境になってから重要になっただけで。扱いはそれ程でもないですよ?」
「……ああ、エルフですか。そう言う事ですか」
「そう言う事です。貴方もエルフでしょう? 忘れてどうするんですか」
「自分の種を意識する年齢でもないですからね。まだまだ人間のつもりで居ましたよ」
「辛いですよ。時代の流れというのは。こんな世の中になるとは思ってなかったですしねえ」
「旧大帝国時代はどうだったんですか?」
「地方都市はそうでもないですけど、大きな貴族の所には地方の学校がありましてね。そこで色々と学びましたよ。自由に研究できるいい時代でしたねえ。今は無き伯爵領ですけども」
「割れたので?」
「ええ、4分割になりましたかね。1つは今の王都で切った張ったをしてますよ。学校は閉鎖になりましたが」
「……教育を捨てるのは愚策では?」
「そう思いますけど、維持費がかかりすぎるとの事と、帝国時代を思い起こすという事で取り壊しですよ。おかげで私はこんな所で受付をやっているんですけどね」
なんともまあ数奇な運命を辿っているようで。学ある人にしてみれば、何故帝国が割れたのかが疑問なんだろうか。割れるべくして割れたと思っているんだろうか。それを聞く勇気は無いな。
それにしても、戦争学か何かの専攻だったのか? こういう人を召し抱えなくてどうするんだとは思うんだがなあ。基本的にジャイアントと人間が大多数を占める世界。エルフというだけで疎まれる事もあるんだろうなあ。探索者は違うけども。
学校が無いのは不自然だとは思っていたんだ。何故に教会で文字を習うのかと疑問に思っていたんだが、帝国時代から教育に力を入れているわけでは無かったのか。
まあ国の在り方次第だよなあ。教育を施す方が良いのか、施さない方が良いのか。貴族にとっては民は愚民の方がやりやすいだろうしな。ある程度の教育を受けた人というものは反抗をしたくなるものでもあるだろうし。
文明が進まなかったのはその所為か。貴族やその他盟主以外の教育を絞っていた。転生者が居ても教育が不十分であればそもそも広める伝手が無いか。運よく貴族や盟主に産まれた転生者の産物が見て取れるのだがな。
思ったよりも旧大帝国時代は良いものでも無かったのかもしれんな。今とどっちがいいかと言われたら解らんとしか言えないが。結局の所教育は施されていないしな。
俺が思っている世界とはかけ離れてるんだなあ。今までランデルしか知らなかったからなあ。あれが標準だとして、そうか。義務教育すらなかったのか。教育水準が低いと文明的に発展はしないわな。
まあ探索者をやる分には変わらんので良しとする。所詮は転生先の世界である。楽しめればいいかなって思う。もう少し便利であって欲しかったがな。




