96話 賊が襲ってきた理由、成果物は美味しくないなあ。
さてと、ここは元ゴブリンの集落かな? 恐らくそうだろうな。そこには死体の山があるわけだが。グレンとリシャールが集めてくれていた。うん、2人とも綺麗に首だけ飛ばしてるね。
俺が持っている死体の数と合わせて50に行くか行かないか位の大規模な盗賊団だったわけだが、とりあえず、身に着けているものから貯め込んだお宝から何からを頂きましょうかね。
倉庫にも荷物持ちにも余裕はあるから手早くしまっていくとしてだ。……目立ったものは金くらいしか無いな。他の物資は特段見受けられない。
となると、闇ギルドに売った後か。それならこの金額もある程度納得は出来る。出来るんだが、これでは何故に襲ってきたのかが解らなくなってしまった。
死体の確認序でにタグを確認していったんだが、見事に冒険者崩れの集団だった。ハンターは無し。冒険者だけだ。他国の密偵でも無いのか。いや、冒険者登録だけした可能性はあるんだけど。
解らん。金が無いのであれば解らんでも無いんだ。こっちを捕縛するなり何なりして奴隷として売り飛ばせば良いんだから。割といい値段で闇ギルドでも売れるだろうさ。
金はある程度あったんだよな。俺たちのような、あからさまにAGIのおかしい連中を相手に戦う程の余裕のなさでは無いんだ。普通は避ける。その位の判断はあると思ったんだがな。
そして金があるならば食糧に困っていた訳でもない。現に目立ったものは金くらいだったが、食糧や酒はたんまりとあった。生活に困っていて少しでもいいから金か食糧かを手に入れなければならない状態でも無かったはずなんだがな。
可能性が殆ど潰れるんだよ。わざわざ俺たちを狙った意味が解らんのだ。……一応、成り立たなくはない理由はあるにはある。リシャールだ。
危機招来の話ではない。いや、それも大きな理由というか、一番の理由ではあるんだが、これ以外の理由付けが出来ないと襲う意味が無いんだ。決して危機招来を甘く見ているわけではない。
問題はリシャールのAPPである。所謂顔立ちだな。最近APP換算で19くらいある気がするんだよな。ちょっとおかしいとは思うんだけど、APPが19ある様に見えるんだ。
APPという言葉に余り関心の無い人がいるかもしれないんだが、基本的には3D6で決まるんだ。6面のサイコロを3つ振って出る数値を参照することであらわされるのがAPP。
19で疑問に思わないだろうか? そうだ、3D6の上限は18である。19ある方がおかしいのだ。明らかに常人離れした美貌を持っているのだ。
現に一緒に歩いていると、10人に9人程、こちらをみていくからな。男も女もだ。その位容姿が整ってきているのだ。
まあスキルの所為だとは思うんだがな。容姿端麗Lv10というスキル。圧倒的にこいつのせいだと思われるスキルな訳だが、人間の美貌の一段階上に位置している。
遠くからでも見て取れたんだろう。このAPPお化けならば非常に高値で売れる。そう思ったからこそ仕掛けた。これならば一定の理由が付くんだ。
攻撃が遅れたのもその所為だと思われる。普通は丸太を持って退けている時に矢玉を降らせる物だろう? それが退けてから暫くして矢玉が飛んできた。迷ったという証拠だろう。
獲物としては価値がない。でもあのAPPは捨てがたい。そう思ったからこそ仕掛けた。それならばある程度の理由は付くんだ。リシャールは納得しないかもしれないが。
それ程にリシャールの顔は狂っている。人間離れした美貌を手にしている。こいつまだ13歳なんだがな。成長したらもうちょっとAPPが上がる気がするんだよな。気のせいでは無い筈だ。
美貌のせいで悩まされる日は来ると確信している。そしてそれに巻き込まれるんだ。解ってるって。俺の運命はそう言うことろにあるんだろうさ。主人公の傍らであらよあらよと厄介事に巻き込まれる運命なんだ。そう思っている。
正直なところ、リシャールだけ奴隷から解放するという選択肢もある。あるんだが、混沌の神様がそれを許してくれない気がするんだよな。
簡単に言えば、これ以上の厄介事を押し付けられそうな気がする。これは勘なのだが、当たらずとも遠からずと言ったところだろうさ。あれはそう言う存在だ。
さてと、目ぼしいものは本当に無いな。武器も防具も平凡。金は幾らか在れど、食料品と酒のみと。収穫はそんなに美味しくない。もうちょっと時間を置いていたらいい感じのハンター案件になっていたんだろうが。仕方ないね。
一応武器とかも貰っときますけどね。ゴブリンに使われると面倒だろうし。死体は……街道付近にまとめて置いておくとしてだ。後やらないといけない事って何かあるか?
ハンターの仕事が初めてだからな。その辺のノウハウがまだないんだよな。まあ魔物に使われそうな物だけ持っていくのと、後は資材とかを燃やしておけば問題ないかな。
森の中で燃やして大丈夫かってなるけども、生木は燃えないってのが常識だから。樹皮は燃えるかもしれんか。あーどうするかな。
とりあえず、ゴブリンたちが利用出来ないように破壊はしておくか。勿論魔法でな。手で解体作業とかやってられんですよ。魔法でちゃちゃっと片しましょうね。
……うん、これで良し。これだけボロボロなら再利用もされないだろう。木材が武器として使われる位だろう。棒士にも反応するだろうし。別に問題ないと思うけども。
さてと、時間がいい感じにかかりましたね。街道に戻って、死体をまとめて置いておいて、出発ですよ。まだ何かあるかもしれないし、なるべく早く到着しておきたいし。
宿を決めないといけないからなあ。宿選びは大切ですよ。まともな宿屋って無いんだろうか。無い訳がないと思うんだがなあ。まあ別にいいけどね。大部屋じゃ無ければ。
走って行くか。町まで全速前進だ。報告もしないといけないし、とっとと行きましょうね。走るのは慣れてるからなあ。アリの巣で散々走ったし。次の町まで今日中に着くように走るぞ。




