89話 クアンサへの旅立ち、宿選びは重要
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1月5日、土曜日。今日、家を出ていくことになりまして。ええ、前々から言ってたことですけどね。クアンサに向かいますよ。
新年祭はどうしたって? 無事に何事も無く終わりましたよ。何事かあるんじゃないかと思っていたんですけどね。何もなかったですよ。はい。
皆で楽しく出店を回りましたとも。皆で一緒にな。特に問題になるようなことは無かったな。イベントは幾つか有ったけど。
迷子を見つけて親を探したり、掏りを見つけて捕縛したり、喧嘩の仲裁を頼みに兵士を呼んだりしてました。リシャールといるとイベントが寄ってくるんですよね。
大きいものばかりが危機では無いんですよ。小さなものまで寄ってくるんです。毎日これか。忙しいったらないな。迷宮に潜っている時の方が楽なんじゃないか? 神経使うよ。ほんと。
この分じゃあ今日も何かしらあるんだろうな。西に行くからな。町まで2日なんだけど、走れば1日だから。ダッシュで行くからな。駆け抜けるさ。
「父さん、母さん、多分戻らないと思う。長らくありがとう」
「もう行っちゃうのね。子供は早いわね」
「戻ってくんなよ。向こうでいっぱしになって来い」
「ああ、最強まで上り詰めるさ」
「「「「ありがとうございました」」」」
「武器は変えろよ。最強になるんなら鋼鉄の武器じゃあ恰好が付かねえからな」
「頑張ってね」
「うん。じゃあ出発!」
長年住み慣れた所から出るのは悲しい。が、しょうがないよな。最強を目指すんだからな。最強になったら戻ってきても良いんだけど、最強って日に日に変わるからな。傲慢さんには勝てる気がしないけどな。10倍だろ? 無理だって。
さて、西門から走り出して行きましょう。新しい旅の始まりですよ。大分早い気もするけど、早い職業はこんなもんでしょ。さあ行きましょうね。
そんなこんなで走って休憩して走ってを繰り返して8時間後。……無事に町についてしまったぞ? どういうことだ? 危機招来さんはどうした。仕事してないよ。
まあともかく、冒険者ギルドに寄りますがね。一応ゴブリンを倒したからその報告をね。リシャールがバッサリとやっただけなんだけど。危機は?
「94番!」
呼ばれました。さあ行きましょう。言っても6匹分なんですけど。少ないですね。まあ良いですけど。
「換金をお願いします」
「はい。ちょっと待っててくださいね」
奥に取りに行った。大した金額じゃないから直ぐに戻ってきた。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。この町に来たのは初めてなんですけど、何か問題は起こってないですか?」
「起こってますよ。アントの大量発生です。西門の方にクイーンアントが出たようで、アーミーアントが沢山出てきてるんです。今そっちに冒険者さんが取られてしまって」
「ああ、成る程。解りました。そっちの方で頑張ります」
「助かります。頑張ってください」
大量発生が起こってましたか。成る程ね。盗賊はまた今度か。まあランデルに近すぎるか。もうちょっと離れてからかな? 解らんけど。
ともかく明日はアーミーアントを狩りに行きましょうね。無視しても良いんだけど、駄目な気がするんだよな。無視したら。もっと酷いことになりそうでさあ。ほっとけないじゃんね?
多分リシャールの所為だから。放置は不味い気がする。もっと大きな波になって襲い掛かってくる気がする。断言してもいい。放置は駄目、絶対。
さて、じゃあ宿に向かわないといけないんだけど、ギルドで聞いとけば良かったか。まあ西に西に行くんだから西門の近くで探すか。明日からで良いだろうし。流石に今日やれとは言わんでしょ。
金は持ってるから問題無いし、稼ぐ必要は無いんだけどな。クイーンアントも倒し慣れているし、問題ないかな。……おっと掏りか。ぶつかってたたらを踏むんじゃ無いよ。STRが足りてないぞ。
もちろん掏られはしないさ。掏り返したけど。こう見えて掏り士Lv10を持ってますから。朝飯前ですよ。3万サルンか。湿気てんな。こんなことは割と日常だったりするんだよ。
ランデルでも結構遭ったからな。掏り返すんだけど。だって荷物持ち帝を持ってるし。財布なんて持ってるわけないじゃん。懐にはおとりしか入ってないよ。
掏りは割といるんだよなあ。事が大きくならないなら問題はない。闇ギルドの構成員かもしれないが、そんな末端の負け話を大事にするほど暇じゃ無いでしょう。多分だけど。
まあ宿代が入ったから宿を探すか。……今度はリシャールに当て掏りか。超回避で避けたから掏りも失敗してらあ。全く、この町は掏りが多いのか?
掏り士Lv10で成功するのかと思った人もいるんじゃないかな。俺のDEXを考えてくれればいい。8桁あるんだぜ? その辺のスキル持ちよりも器用だからな。流石に王スキル程では無いだろうけど。豪くらいはあるんじゃないかと自負している。
……闇ギルドが強い町なのかもしれないな。注意はしておくか。まあ今日は皆に財布は持たせてないんだけど。俺とダニエルしかお金は持ってないよ。
1時間ほど歩いて、……ここでいいか。宿屋だよな? 看板が出ているから間違いないと思うんだけど、宿って初めて使うからな。ここの宿はどんな宿だろうな。
「すみません。この宿はどんなシステムですか?」
「この宿は大部屋宿だよ。1泊1人3万サルンだ。先払いだよ」
「あ、すみません。個室宿を知らないですか?」
「個室宿はうちじゃないよ。場所なんて自分で探しな」
「あ、そうですか。解りました」
大部屋ね。ゴブリンを少ししか倒せなかった人たちが泊まる宿だな。個室が良いよなあ。5人部屋を探したい。看板は一緒だから解らんよなあ。もうちょっとどうにかならなかったのか。
4軒大部屋の宿屋を回って解ったことがある。値段が違う。安い所は1万サルンから泊まれる。高い所では3万サルンだ。一体何が違うのか解らんけど、大部屋宿でもグレードがあることが解った。
そして個室宿が少ないことも、解った。もう少しどうにかならんのかいな。ゴブリン1体で10万サルンだぞ? 個室宿を増やしても良さそうなのに。というかゴブリンを5,6匹しか狩れないとか言わないよな? 解らんからな。弱い奴らは本当に弱いからな。
さて、ここの宿屋はどうなってるだろうな。個室宿がいいなあ。個室宿もグレードがあるんだろうけど、とにかく個室宿が良いな。
「すみません。ここの宿屋はどんなところですか?」
「うちは個室宿だよ。一部屋30万サルンからだ。食事は無しだよ」
「5人部屋をお願いします」
「だったら50万サルンだ。先払いだよ」
「はい」
「304番があんたらの部屋だ。トイレは1階のを使いな。共同だよ。井戸は近くの共同井戸を使いな。他に分からないことは?」
「いえ、大丈夫です」
「そんじゃあ部屋を確認してきな。文句があっても金は返さないよ」
「……解りました」
期待薄だよなあ。50万サルンか。道中のゴブリンで足りてしまった。304号室ね。行ってみましょうか。どんな宿だろうな。不安しかないんだが。
ともかく部屋を隅々までチェックしよう。……ベッドは5台あるな。確かに5人部屋だ。そこは躓かなかったか。流石に4人部屋を5人で使えとかいうテンプレ的イベントは無かったか。
……鍵は? え? 無いの? マジで言ってるのか? 安いなあとは思ったけど、鍵無しの部屋かよ。危なすぎるって。闇ギルドと繋がってないだろうな。心配が積み重なって来たんだけど。
宿はギルドで聞くか。この宿は外れだな、確実に。まあいいか。とりあえず晩飯を食いに行くか。不味い飯は嫌だからケチるのは駄目だ。やる気に関わる。まだ時間は早いけど、夕方だしな。もう食べても良いだろう。皆で食べに行くぞー。




