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雨上がりに僕らは駆けていく Part1  作者: 平木明日香
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第93話


 その夜、亮平に電話をかけた。



 「…あんたさ、ほんまにふざけんなよ」



 ベットに寝転がりながらスピーカーをオンにする。


 セブンティーンの雑誌をパラパラめくりながら、片手にはポテトチップス。


 歯磨きはこの後するつもり。


 とりあえず言いたいことがあって、気がついたら番号を押していた。


 亮平の、気怠そうな「もしもし」の声を聞き、思わずキレそうになった。



 「なに怒ってんねん」


 「なに怒ってんねん、やないわ。何やねん今日のアレは」



 本当にあの後どうしようかと思った。


 帰るタイミングが謎すぎて、逆になにも言えなかった。


 一体何のつもりなんだ。



 「二日後にわかるって」


 「…なにがあるんか知らんけど、私にくらい教えてくれてもええんちゃうん?」



 しばらく沈黙した後、口を開いた。



 「…せっかちやな、お前は」



 いやいやいや、なんか私が悪いみたいに言ってるけど、どこをどう取ったらせっかちなのかな?


 電話をかけたことが?


 明後日のことが気になるから?


 まともな思考をしてないのは私の方なのか?



 「少しは待つっていうことをやな…」


 「ふざけんな」


 「そう怒るなって」


 「怒るわ、このハゲ!せっかちもクソもないわ!あんたがわけわからんこと言うからやろ。私が困っとんのは!」



 ひとまず冷静になって考えてみて?


 私がせっかちとかせっかちじゃないとかじゃなくて、「未来」の話をなぜ急に展開したのかという、そもそもの状況がだな…



 「せやから言うたやん」


 「…なにを?」


 「あの2人には伝えたいって」



 そうそう、それもそうだ。


 アキラが死ぬってどういうことなんだ??


 話が途中でわけわかんなかったし、色々中途半端に終わってんだよな。



 「とりあえずあの2人に話を信じてもらってから、って感じで」


 「おいおいおいおい!電話を切ろうとすな!」



 それじゃ俺は寝ます的なノリで電源ボタンを押されそうな気配を感じたから、咄嗟に声を荒げた。


 話がまだ終わってないってのに。



 「今話したってこんがらがるだけやろ?」


 「絶賛こんがらがってる最中なんやけど?」


 「…まぁ、俺も悪いとは思っとるよ?」


 「あ゛ぁ!?」



 電話越しに聞こえる笑い声。


 なにが面白いのだろうか。


 こっちはこんなに困っているのに。



 「悪い悪い、ついな。ちょっと気が早かったかもってぶっちゃけ思っとる」


 「…おい」



 今すぐに家に行って痛い目に遭わせてやろうと思ったが、さすがに母さんに怒られる。


 結局あんたはなにがしたいの?


 そう尋ねたのは、今の状況を少しでも整理したかったからだ。



 「2013年の12月27日に、なにがあったか覚えとる?」



 2013年12月27日??


 …え、なんだ?


 なんかあったっけ。



 記憶を張り巡らせる。

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