表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨上がりに僕らは駆けていく Part1  作者: 平木明日香
7/698

第6話



 えーっと…、確かローソンは…



 地元の神戸の街は入り組んでいて、時々路地の入る場所を間違えてしまうことがある。


 まだ頭が覚めていないのか、自分が思ったところの道と、たどり着くべき場所が一致しなかった。


 確か中央幹線を横断して、川向こうの2番目の信号機を曲がったところに、看板があったはずなのに…



 仕方がないから駆け足で来た道を戻った。


 それは元々の目的地であるローソンを探し直すためではなく、神戸市の中央区へと続く、県道21号線の反対車線沿いに向かうためだ。


 立ち読みできたらどこでも良いし、買うものはとくにない。


 時間に余裕があると言っても、さっさと用事を済ませないと、せっかくの朝の(いとま)が台無しになる。



 急いで来た道を引き返して、歩道橋の向こう側に見える時計台を見上げた。


 時刻は7時30分。



 途中から線路を跨ぎ、レンガで覆われた公園近くの歩道の上を早歩きで歩く。


 すれ違うのは仕事に向かうスーツ姿の男性や、ガラス張りのビル、学校まで友達と一緒に歩いている小中学生の女の子たち、横断歩道の信号。



 そこで私はあることに気づいた。



 いつもには無い違和感。


 ブレザーのポケットがやけに軽いなと思いつつ、左手でその中を探る。





 …え、ウソでしょ……?



 いつも左ポケットに入れているはずのスマホ。


 入ってないじゃないか…!



 右にも無いし胸ポケットにはもちろん無い。



 …まさか、忘れたなんてことはないよね?




 急いでバックの中を探った。


 あるのは寝癖直しのヘアウォーターと財布、教科書類に筆記用具、それからお茶。



 …ない!



 ないないないない!




 ウソ!!




 ちゃんとリビングに持って降りたはずなのに…!



 確か目覚ましが鳴って、ラインの返信とかでご飯を食べながら触ってたんだけど、そのあとどこやったっけ…?



 そのまま机の上とか?



 時計を見た。


 電車の時間まではあと20分。



 …、どうしよう。



 家に帰ろうかな



 いやでも、わざわざ取りに帰るほどのことでも……




 だけど今日は、友達と約束してるんだよね。


 この夏最後の花火大会。


 最後に思いっきりハメを外すつもりだから、家に帰るのが絶対遅くなる。


 遅くなるのなら母さんに連絡しとかないといけないし、最悪迎えに来てもらうという可能性も無いことはない。


 どちらにせよ、スマホがないと何かと不便なんだよなぁ



 …うーん



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ