第533話
買うものだけ買って、家に帰った。
物置からガスコンロを取り出し、キッチンで野菜を洗った。
冬と言えば鍋。
すき焼きもいいけど、あっさりしたダシにポン酢をつけて食べるのが昔から好きだ。
鶏がらスープが至高だよね?
友達ん家で鍋パする時は必ずと言っていいほど白菜が入るけど、私ん家は別。
というか梨紗も私も、白菜は好きじゃない。
嫌いじゃないけど、わざわざ入れるっていうほどじゃないから、キノコとか豆腐、あと水菜を少々。
もやしも入れるかな?
長ネギは必須です。
つくねとかタラとかもいいよね。
今日は、彩りもクソもない過去一の肉鍋だが。
じゃがいもの皮むきをお願いされたから、ちまちま皮むき機で作業してた。
亮平は隣で鍋の下ごしらえをしている。
まな板の上でネギを切りながら、ボウルの中に牡蠣を入れてた。
トレーの中に敷いた魚に塩を振って、鳥のひき肉をパックから取り出している。
ずいぶんと手際がいい。
婆ちゃん家でフライパンを持ってた時も、別人のような手際の良さで料理してた。
未来の彼のことを知らない私にとって、昆布だしを取ってる姿は、新鮮以外の何物でもない。
やっぱ見慣れないわ。
キッチンに立ってるあんたの姿は。
ご飯を食べた後、ソファの上でウトウトしてた。
一応部屋を用意してくれてた。
でも、シャワーを浴びた後、2人で色々話してたら、部屋に上がるのもめんどくさくなった。
ソファはフカフカだし、クッションはいい柔らかさで、頭を預けるにはちょうどいい。
彼は彼で、せっせと押し入れから毛布を引き出して、リビングのテーブルをコタツに変えては、ここで寝るぞと言わんばかりにカタツムリの如く動かなくなった。
私もコタツに入ろうと思ったが、いかんせん狭そうだったしやめた。
暖房効いてたし、毛布をかけるだけで充分だった。




