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雨上がりに僕らは駆けていく Part1  作者: 平木明日香
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第28話



 「それで…」


 「いや、勝手に話進めんな」


 「…あぁ、ごめん」


 「一旦、話を整理しない?なにを助けるって言った?そもそも」


 「キミを」


 「そうそうその「キミ」っていうのもなんなん?ちゃんと名前で呼んでくれん?」


 「ああ、そっか。…そうだね。じゃ、楓。キミを助けたいんだ」



 …結局「キミ」って呼んでるやん。


 一体なんなんだ。


 違和感マックスなんだけど。



 「私を助けるって、具体的にどう助けるわけ」


 「キミは今、「なにかにぶつかった」と言ったろ?」


 「うん」


 「それは夢なんかじゃなくて、実際に起こることなんだ。だから、それを助けたい」


 私の身に起きたこと。


 朝のあの交差点で起こった出来事に対して、夢じゃないと言う。


 現実離れした今の状況にとっては、心強い言葉にはなった。


 だけどその言葉をすんなり聞き入れるほど、冷静にはなれない。



 「夢じゃないって…、信じてくれるんやな」


 「そりゃ信じるさ。僕のいた世界じゃ、どんなことも不思議じゃないからね」



 その言葉をどう受け止めれば良いのか、私にはわからなかった。


 亮平の言葉の信憑性は0に等しく、そもそも真面目に聞いてない。



 亮平は、私の言葉を「信じる」と言う。


 この「会話」がどこに向かってるのかは知らないが、なにが正しくてなにが正しくないかを見失いそうになるほど、現状の話の流れは、とんでもなくややこしくなっている。



 「助けるって言うても、こうして私は生きてる。信じられへんけど、ここが「夢」の世界やないって言うんなら、もう私を助けなくてもよくない?」


 「どうしてそう思う?」


 「だって今は12月やん。9月から3ヶ月も経っとる」



 いまだに信じられない話だが、スマホを見て、今日が12月24日だということを知った。


 亮平は、「9月10日に死ぬという私」を、「助けたい」と言った。


 だから…、だからもし今が「12月24日」だというのなら、もう私を助ける必要はないと、直感的にそう思ったんだ。


 自分は今こうして、生きているのだから。

 


 

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