第26話
「うーん…」
「わかった。信じろとまでは言わないから、少しだけ真面目に聞いて欲しい」
なんでこんなに必死なんだろう。
別に信じても構わないけど、なにがあんたをそこまで駆り立ててるわけ?
テーブルを挟んで私を睨みつけるように眼光が鋭い亮平を見て、「まあ、減るもんやないし」という気持ちにはなったが、どうも合点はいかなかった。
冗談をつくにしても、冗談が下手すぎる。
亮平がバカといえど、流石にこれはない。
「別に信じても良いけど、「未来」から来たって割には、なんも変わってないな」
その下手なジョークをどこまで続けられるか見守ってやろう。
どうせすぐ、「なに本気になってんだよ」とか、言い出すに違いないだろうから。
「たしかに、肉体的な年齢はそうかもしれないけど、僕が来たのは50年後の未来だ。だから実際の僕の年齢は、65歳ってことになる。色々事情があって、正確にはもう少し歳が嵩んでいるのだが」
うんうん、なるほど。
50年後からやって来て、今は65歳。
…って、は?
「今なんつった?」
どんな話の展開になるんだろうと期待していたが、想像以上に内容がぶっ飛んでいた。
「ちょっと待って!」
「ん?」
ん?じゃないよ。
50年後?
65歳??
なんなんだその「ワード」は。
少しはまともなウソをついたらどうだ。
「だから、本当のことなんだ」
あんたが65歳って?
ハハ。笑える。
どっからどう見ても中高生の年代じゃないか。
亮平の口から出る言葉には信憑性のかけらもなくて、それでいて無駄に具体的だ。
「未来から来た」という話を信じるだけでも手一杯なのに、「50年後」って。




