第21話
その場に俯いて何も言わない。
いや、なんか言いなさいよ。
なんであんたが困った顔してるわけ?
亮平はとにかく座って欲しいと言うから仕方なくまた席に戻った。
戻ったのはいいけど、結局あんたは何が言いたいの。
まじまじと亮平を見つめるが、さっきとは打って変わって何も言わなかった。
「用事がないなら帰るけど」
亮平のことだから、どうせ大した話じゃないことは分かっていた。
亮平の口から、深い言葉が聞けるとは思えない。
私は何も期待せずに、黙って座っていた。
「…なんて言えばええんかな」
なにが言いたいのかは知らないけど、そんな思い詰めることある!?
目に見えて困っているのはわかるが、なにをそんなに思い悩むのかがわからなかった。
「なんかあったん?」
その言葉にハッとした顔を見せた。
そうしてそのままこう言ってくる。
「未来から来たって、信じてくれないとは思うけど…」
私はまた立ち上がり、亮平を見下ろした。
いい加減にしなよ、と言いたい気もしたが、やめにした。
「あんたが真面目になってくれるなら聞くけど、ならないなら帰る」
未来から来たとかアホなことしか言えないなら、これ以上付き合っても無駄だ。
すると亮平はこちらを見つめ、テーブルの上に一冊のノートを置いた。




