表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨上がりに僕らは駆けていく Part1  作者: 平木明日香
17/698

第16話


 ここが夢の世界なら、いつかは目が覚めるだろう。


 見つからないスケジュールに嫌気が差して、天を仰ぐ。



 あーもう…、なんで無いの?



 梨紗は梨紗で今日のパーティーのことを賑やかに話してる。


 キラキラした口調。


 よっぽど楽しみなんだなと思いながら、私は私で「はいはいそうですか」と適当に相槌を打つ。



 ねえ、あんたも一緒に探してよ?


 バカなこと言ってないでさ。



 夢なら早く醒めて欲しいけど、醒めてほしくない気もする。


 もし醒めたら、私は死んじゃうんじゃないか?


 と思ったからだ。


 交差点にいたあの時、なにかとんでもないことに巻き込まれたような気がした。


 きっと、…いや多分、何か不吉なことが起こったに違いない。


 うまく思い出せないけど、それが「良からぬこと」であったことは、記憶の片隅に思い出せた。


 痛みも何もなかったけど、ものすごい衝撃を全身に受けた。


 飛ばされたのか、下敷きになったのかは知らない。


 だけど、確実にわかるのは、なにか得体の知れない巨大な物体にぶつかったという事実が、「体の記憶」を通して思い出せるということだ。


 その記憶が確かなら、ドンッ!という音が体の中心に響いて、急に視界が真っ暗になった…。


 そこまでは覚えてる。


 気がついたら家にいた。


 この場所、見慣れた我が家の空間に。

 


 首を傾げながら梨紗を見た。


 どこを探しても、スケジュールが見つからないんだけど…




 相変わらず目をキラキラさせて、こっちを見てる。


 困っている私のことなんて気にも留めず、今日はどうするのかと騒がしい梨紗にも嫌気がさして、ちょっと黙っててよと口元をつまんだ。


 痛がりながらものすごい勢いで私のことを睨む梨紗。


 そのしかめっ面を見て、思わず笑いがこぼれてしまう。



 「今日がなんの日」か、まるで素知らぬふりをして白色に染まる空。


 窓の外でチラつく雪の結晶を目で追いながら、ふと、良からぬ想像をしてしまった。



 …もしかして、ここは死後の世界なのか…?



 そう思わずにはいられないほど、さっきまでの「時間」が頭の中に焼き付いて離れない。


 後にも先にも、あんな衝撃を体感したのは初めてだったからだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ