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第127話
バスは病院前に着き、巨大な正面入り口の前に立った。
ガラス張りの自動ドアを過ぎ、受付へと向かう。
キーちゃんは10階にある、リハビリステーション内の専用の病室に入居しているみたいだった。
「療養による入院」というよりは、病院を住まいとしているらしい。
キーちゃんの父親は今アメリカにいるみたいで、母親は子供の頃に離婚して、今はいない。
家族が身近にいないため、療養という名目で入院生活を続けている。
それが亮平から聞いた「話」だ。
「私」はこの病院に、高校を卒業してから来ていなかった。
理由はわからない。
亮平は、私たちは高3まで親友だったと言っていた。
でも、なぜかキーちゃんのお見舞いには来ていない。
それがなぜなのか、自分でもわからない。




