第11話
スマートフォンの画面を見た。
そこには、予期しない文字や記号が並んでいた。
12月24日午前7時05分。
……ハハハ。
からかうのはやめてよ。
12月?
…12月って、……はぁ?
訳がわからない。
ソファに腰掛けながらひたすらリモコンを押し続けた。
指が疲れてきたところで時計を見ても、間違いなく7時を回ったところで針が止まっている。
そんなことって…、ある?
いやべつに、変なことを言っているつもりはない。
絶対に時間を間違えることなんて…
「はいこれ、朝ごはん」
食卓からコーヒーとバナナとパン。
流れるように妹が持ってきて、食べなさいと言ってきた。
運ぶもの運んでお姉ちゃんがついに壊れたと言って後ろの方で談笑しながら、「外見てみなよ」って。
外?
重たい腰を上げて、パンを口に頬張り、煎れたてのコーヒーの匂いに鼻を傾けながらパタパタ歩き、閉め切ったカーテンをやさしくひらいた。
「……うわ」
そこには、一面の銀世界が広がっていた。
季節外れすぎるまっ白いフォトショットが、太陽の光線を浴びてフラッシュを焚き、混乱する頭の中をさらにかき乱した。
銀、銀、銀。まさしく白。
そういう色彩のコントラストに打ちのめされるかのように眩しい雪化粧の銀世界が、隙間もなく覆いかぶさってきた。
世界の「色」が変わっている。




