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未確認生物の調査6


青白い光が収まると、狼が一匹。狼と言ってもその体躯は平屋に匹敵する程大きく、そして額からは巨大な鋭いツノが一本生えていた。そのツノから稲妻が発生し体全体を包んでいる、周りの者達を見下ろすと雪男を睨みつけた。


「おでごろぜるやづぎだ……おでごろぜ!」


『おいおいこんなに新人を痛ぶったら可哀想だぜ?チビッチまったらお前の責任だぞ!ヤレヤレだな』


狼の念話が辺りに居る者全てに響き渡る、話の感じでは仲間みたいだが油断は出来ない。疲労感に苛まれ移動する事が出来ず事の成り行きを観察していた。


『なぁ?なんでお前はそんな事になってんだ?』


「おで……じらないやづに……なんだのまざれだァァァァァァ」


『はぁ……世話が焼けるぜ!!」


雪男が拳を振り上げると、森の入り口から颯爽と男が現れた。息を乱す事なくレイピアを正面に構え手を腰に置くと、この場には似つかわしくない優雅な姿勢でルシウスに視線を向けた。


「ルシウスさん無事で良かった。隣の方はどなたです?」


「シルバーさんっ!コイツは俺の仲間です」


「さて、話してる時間は無さそうです。まずは奴を倒してしまいましょう良いですねカイザー」


『わあがったよ!いつもので良いか?』


「えぇ良いでしょうそれでは行きますッッ!」


ルシウスを他所にカイザーと呼ばれた狼とシルバーは雪音目掛けて左右から駆ける。まず先にカイザーが雪男の後ろに回り込むとツノで上空に突き上げた。


『ライトニング』


上空に突き上げられた雪男に雷鳴が轟き、(いかづち)が襲う。先程よりも威力が上がっているソレは雪男の両手両足を貫いた。貫いた所が焦げ臭く黒く霞んでいた。


「また助けられませんでした……どうぞ私を恨んで下さい」


「おではじあわぜだった!家族をっ!家族をどうガっ!」


雪男の顔は死にゆく者とは思えない程穏やかな表情を浮かべていた。雪男が落下してくるであろう場所に仁王立ちで目を閉じ待ち構える。


「彼の為に……一撃で仕留めるっっ!」


瞳をカッと開くとレイピアの周りを風が纏わりついていた。一撃に重きを置き、点に集約された力が雪男を穿つと思われた時。


「ちょっと!待ってください!」


鉛の様に重い体を懸命に動かしシルバーにタックルした(のち)地面に転がった。ルシウスの行動のせいか雪男に攻撃が当たる事も無くそのまま地面に落下した。


「ルシウスさん何故この様な事を?」


「いや……だって彼には家族が……家族が居るんですよ?それに何か飲まされたって言ってましたどうにかならないですか?俺は彼を殺したくありません」


「そんな事言われましても……分かりましたでも助けられるか分かりませんよ?取り敢えず手持ちのアイテムを使います!離れて下さい」


地面に激突した後動かず静かにしている雪男に近づくと解毒剤から状態異常回復薬など手持ちで使える物をどんどん飲ませ始めた。そんなに飲ませて大丈夫なのか心配になったが黙って事の成り行きを見つめた。

カイザーとシルバーは手持ちの薬を飲ませ終えると

戦闘態勢を解除せず雪男を見つめていた。

ピクんピクんと体を痙攣させた後ゆっくりと起き上がると先程よりも発達した爪で切り裂こうと振り下ろす。


「ウガァァ」


その瞳には理性のカケラも無くそれ以降言葉を発する事は無かった。体からは不気味な紫色のオーラを纏った雪男。


「ルシウスさん……もう彼は戻りません!彼の事を思うなら楽にしてさしあげる事が私達に唯一残されたモノじゃないでしょうか?」


「でも……」


「シルバーさん俺に考えがあります!最後のチャンスをくれませんか?」


思い悩むルシウスを見て胸を痛めたライズは袋から泥団子の様な物を二つ近づいて来たシルバーに渡した。


「苦玉です!頼みます!ルシウスを悲しませないでくれ!」


「分かりました試しましょう、ですがこれで彼が戻らない場合は覚悟をしてくださいカイザー動きを止めて下さい」


『あいよっ!ライトニングバインド」


雷で出来た鎖で雪男の動きを止める、動きを止めた事を確認すると近づき苦玉を二つ雪男の口の中へ放り込み掌底を打ち込むと無理やり飲み込ませる。


「貴方は強い男だ!戻って来なさいっっ!これ以上彼を悲しませるな!男ならなっっっ!」


激励とも取れる強い言葉を雪男にかけた。飲み込ませて数分経つと暴れていた雪男は動かなくなり今度は嘔吐を始める、それを見て拘束する事をやめると四つん這いになって必死に何かを吐き出そうと苦しみ出した。


一気に空気を吸い込み勢いよく吐き出すと真っ黒い玉が雪男の口から吐き出される、紫色のオーラを纏った不気味なソレは触手を伸ばそうとしてた。


「今ですっっ!カイザーーー!!」


『ライトニング……ブレイカー!!』


カイザーから放たれた雷が黒い玉に殺到すると、ソレを包み込み小爆発を起こした。

雪男は気を失いその場に倒れ込んだがその胸からはちゃんと心臓が脈打っていた。


黒い玉を見たシルバーは胸を抑えてしゃがみ込んでいた。それを見て心配になったルシウスはシルバーに駆け寄り声をかけるが返答は無い。徐々に呼吸も荒くなっていったがポーチから薬を服用して数分経つとそこにはいつもと変わらないシルバーが居た。


「シルバーさん大丈夫ですか?なんか様子がおかしかったですけど」


「えぇ、大丈夫です。ご心配をお掛けしました少し昔の事を思い出してしまいまして、そんな事より移動しましょう街の近くに魔物牧場があります取り敢えずそこで従魔達も休ませましょう彼女達とも合流出来ると思いますし」


シルバーが用意した馬車に乗って魔物牧場へ向かった。

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