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新人キャンペーン3

 昼御飯を食べ少しの休憩を挟むと婆さんと一緒に離れに向かう、今日は魔物の赤ちゃんの他に生後一ヶ月程の子供の面倒をみるのだ。離れの扉に近づくと赤ちゃんの鳴き声が聞こえた。


「まずルシウス君は敷いている藁を外に出してそこをブラシと水で洗ってくれるかい?水は藁を敷いてある下に栓があるからそれを抜けば水が流れるようになっているからね。私は乳を搾ってくるから」


「分かりました」


 婆さんからバケツとブラシを貰って中に入ると、婆さんは乳を搾りに向かった。中に入ると益々鳴き声が強くなる。


「皆元気かな? こんなに鳴くなら元気だよね」


 元気か聞いてみたが聞く必要が無いほど元気なので聞く必要もなかったと苦笑いした。その後窓を開け作業を始める。


(まずは赤ちゃんを移動させないとな……)


 部屋半分が藁で残りの部屋半分はフカフカの布が敷いてあり取り敢えずそこに赤ちゃん達を移動させる。


「クゥーンクゥーン」


「おっ、君か綺麗にするから移動しようね」


 昨日鳴かせてしまったウルフの赤ちゃんが可愛い鳴き声で自分の存在を主張している、額に三日月型の模様があった為すぐ思い出したのだ。優しく抱き上げるとルシウスの指にチュパチュパ吸い付いた。


「本当に可愛いよなぁ、ほら此処で待ってるんだよ」


 ルシウスは布を重ねた所に赤ちゃんを置くすると


「クゥーンクゥーン」


 赤ちゃんはより一層鳴き声をあげ自分を置いていかないでと言わんばかりに鳴き声をあげていた。


「ちょっと待っててね」


 赤ちゃんを構いすぎると終わらなくなるので次々と移動を終わらせる、総勢十匹程の大合唱をしている中立て掛けておいてある農具の様な物で藁を外に移動していく藁を外に置くと今度は藁を敷いていた所にバケツで水をたっぷりかけてブラシで磨いていくのだがこれが中々大変なのだ。


額から汗を流しながら隅々迄磨きあげて栓を抜き汚れを流す為にバケツの水で一気に流し一息いれる。


「はぁ疲れた。皆綺麗になったからね」


 少しして婆さんが帰ってきた。


「若いって良いねぇ、もう終わったのかいそれじゃあ、そこに新しい藁を少し薄めに敷いてごらん」


 まだ濡れているのに藁を敷いて良いのか迷ったが、ベテランの婆さんが言うので大丈夫であろう、離れの隣にある小屋から藁を持って行き敷くという行為を何度も繰り返す。


「もうこのくらいで良いね、じゃあこの石で火をつけてごらん」


 村で使っていた火打ち石で藁に火をつけると勢いよく燃える。


「あの……この家燃えないんですか?」


 ルシウスは火事になったらどうしようと思ったが婆さんの言葉に安堵した。


「この家は特殊な加工をしているから燃えたりはしないんだよ魔物と言うのは小さい時の環境で性格が変わる、これはね人間と冒険したら火を見る事も多いしその火に怯える魔物も居るのさそれに慣らす為と殺菌する為の意味があるんだよ」


「そうなんですね、自分でやっておきながら火事になったらどうしようと思いましたよ」


「そんな事になるならルシウス君にやらせたりしないさ燃えている間に乳をあげようかね、まず私がやるからルシウス君は見ておいてね」


 婆さんはマジックバックからコップを十個取り出した。そのコップの中にみな同じ量の乳が入れられ乳の匂いがしたのか赤ちゃん達は力強く鳴く。


「このスプーンであげるんさ」


 婆さんは一体を抱えるとスプーンで掬い赤ちゃんに与えた。音をたてながら飲む事十分その赤ちゃんは飲み終るとスヤスヤと眠りについた。


「ほーら乳をあげたらこんな風に寝るから基本的に飲みたいだけ飲ませてあげてね」


(可愛い……疲れが吹っ飛ぶな……)


「ルシウス君もやってみると良いよ」


 ルシウスも婆さんからコップとスプーンを受け取り三日月型の模様のウルフを抱き上げスプーンを近づけると鳴きやみスプーンに入った乳を凄い勢いで飲み干す。


ルシウスは忙しなくスプーンの中に乳を補充するがお腹が減っていたのだろう息をつく間もなくコップの中の乳を飲み干すとスヤスヤと眠りについていた。


(可愛い……こんな魔物が一体は欲しいぞ……)


 乳をあげ終ると丁度火の勢いが弱まってきた。


「私が乳をあげておくからルシウス君は燃えた藁の灰を平らに満遍なく伸ばしておいてくれるかな?伸ばし終えたらバケツの水を手で掬って少し振り掛けて頂戴」


「分かりました」


(朝から晩迄ここの担当が良いなぁ……)


 ルシウスは言われた通りに灰を伸ばす、伸ばし終えると少しずつ手で掬った水をかける。


「そのくらいで良いから今度はその上に新しい藁を敷いてフカフカにしてあげて」


「任せて下さいっっ!」


 赤ちゃん達の可愛さによりルシウスはヤル気に満ち溢れていた。せっせと新しい藁を敷き凸凹にならない様に満遍なく伸ばしてフカフカにする。


「よしそれ位で大丈夫だよ。中々上手く出来てるねぇ、窓を閉めてこの子らを藁の上で寝かせてあげようかね」


 ルシウスが終わる頃には婆さんは乳を与え終え皆夢の中だ。合間に婆さんを見たルシウスはプロの手際に驚いた。自分は一匹に乳をあげるだけで大変だったのに、婆さんは二匹、時には三匹同時進行で乳をあげていた。


 婆さんと共に赤ちゃん達を起こさない様にゆっくり移動させる。


「よしこれで赤ちゃんは取り敢えず終わりだね次は子供達の所に行くよ」


 赤ちゃん達を移動させ終えると隣の離れに移動する

 扉の前に着くと中から唸り声が聞こえた。


「ウゥゥゥ」


「あの…自分が行っても大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ、最初は私から離れないでね」


 ルシウスは若干冷や汗をかくが婆さんはそんな事も気にせず扉を開けルシウスも婆さんに続いた。

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