始まりは唐突に
西城静香さんの視点で物語は進みます。
私、西城静香。
社会人二年目の22歳。
住んでいる社宅のお部屋は何と202号室。
電車のベストポジションは前から2両目の2番目のドアで、改札に繋がる階段が近いからちょっと混んでいる。
勤めている会社の部署はサーバー管理室で、なぜか地下2階にある。
別に2がラッキーナンバーってわけじゃないけどさ、ここまで2ばっかりだと何かあるんじゃないかって思うわけよ。
テレビの星座占い程度には気にしてみたり。
そして今、2度目の人生の終わりに向かって真っ逆さま。
ああ、走馬灯ってコレなのか。
1度目の人生はまぁ平凡だった。
転勤族だったから転校を繰り返して、47都道府県は無理だけど地方だったら制覇したよ。
東北、関東、中部、関西、四国、九州……おかげで地理はばっちり!
おおっと、誰もいないのに周りの空気を凍らせちまったぜ、ハハ。
専門学校で情報システムを学んでそれなりの会社に就職できたのはいいけれど、お昼ご飯を買いに出かけたら突然、地面がなくなった。
なくなったというか、陥没だね。
私と、私の前を歩いていた女の人は見事に落ちていった。
ああ、まさに今と同じ状況じゃないの。
2度目の人生の最後も、1度目と同じだなんてあら不思議。
何の因果か運命か。
因果は巡るっていうのなら、3度目の人生もアリかもしれない。
また違う世界に召喚されて、へんてこな人生を歩むことになるのかな……。
こんなことなら情報システムじゃなくて、自衛隊に就職しておけばよかったな。
無人島生活関係のテレビ、もっと真面目に見ておけばよかったと思うよ、ほんと。
まぁでも、元水泳選手だった体育教師の教えは役に立ちそうだ。
高飛び込みのコツなんて、普通は教わったりしないもの。
あとはそう、深さの問題だけね。
牧歌的な小川だったら間違いなく死ぬし。
ちょろちょろ小川で魚を探すくまさんの牧歌的な歌を思い出した。
いや、あの生臭坊主は濁流だって言っていたからそこは信じてみよう。
ちょろちょろどころか轟いちゃっているよ。
地割れの後に川ができたのか、左右は切り立ったがけで、登れる自信はない。
ロッククライミングなら山岳救助隊か。
だとしたら自衛隊じゃなくて警察か消防のオレンジ?とか呼ばれる集団に就職しておけばよかったのか。
いやいや体力のない女がなれるわけないよ、ちょっと落ち着こうよ自分。
そろそろ現実と向き合おうか。
目前に迫りつつある水面に向かって、華麗に飛びこむ姿勢をとった。
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ほぼ全部のページが付くだろうと予想できるので……。
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