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生贄に選ばれた人間には贅沢が許される。
欲しい物はなんでも分け与えてもらえた、やりたい事もなんでもさせてもらえた。
いつもより豪勢なご飯に、いつもより優しい人達。
けれど、みなとても申し訳なさそうに心の中で「ごめんなさい」、「ありがとう」と言う。
村の人達はみなは悪人だったわけではないのだろう。
心が非情というわけでもない。
ただ生きたかった。
ただ死にたくなかった。
でも、生きるには、死なないためには、皆が笑顔でいる世界では無理だったから。
誰かが犠牲にならなければならなかったのだ。
誰かが悲しまなければ、辛い目にあわなければならない。
これはただ、それだけの話。
それだけの思いが導き出した、悲しい結果。