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第五話 銃刀法を無視する場合は、正当防衛をさけべ。

10連休に入ったので、書きました。

空白を増量しました。

4話までとどっちが読みやすいですか??


そして、文章能力が著しく低下しています。

文章力ある人・・・アドバイスプリーズ。

この町の中心には、ホーリータワーと呼ばれる1031階建ての超巨大タワーが立っている。聖なる塔(ホーリータワー)などというたいそうな名前がついているものの、その実情は、ショッピングモールと室内版アミューズメントパークと劇場、講演会場などが組み合わさってできた、超スケールの雑居ビルである。1031階建てというところから、この町がいかにハロウィン一色であるかがうかがえる。

個人的には10.31階建てぐらいにしてほしかった。ハロウィンムードだけで1031階も建ててしまうなんて、納税者の身にもなってやってほしい。(10.31階建ても、0.31の部分が無駄すぎると思うが・・・)


そして、僕ら鬼たちはその塔の近くまで来ていた。

そろそろ、火柱を上げた不届きもの(炎の妖精)がいる場所に近づいてきたはずだ。


僕らは、今までよりも少し緊張した面持ちで歩みを・・・進めているわけがなく、だらだらとだべりながら歩いていた。

「スバル。そういえばお前、やきいもBOY倒した時の、金の延べ棒はどうした? まさか、食べたとか言わないよな」

カミ男が、オオカミになった状態で僕を見上げてきいた。


「食べるわけないだろ。それと、あれは金の延べ棒じゃない。ただの金メッキの棒だ。あれは、失くした。たぶんドーリー通りかペイアン京か、とにかく、どこかで落とした」

僕は、若干めんどくさく思いながらも、一応、カミ男の拙いボケを大体拾ってやった。

感謝しろよな。僕は、仕事終わりにこんなことに付き合わされて、疲れて投げやりになってきていた。


「おいおい、もったいないな。あれ、武器としては結構イケてると思ったのに」

おい、このオオカミ型ハードロック☆ミソスープ。お前の「イケてる」の基準全然わかんねーよ。


「いや、あれ、ただの棒だし。武器じゃないし。僕のですらないし」


「だが、持っていれば意外と使えるかもしれないぞ。残る人間役は、ミイラ男二人と、ゾンビとフランケンシュタイン、そして11人の妖精だ。全部かなり厄介な敵だぞ」

トマは先頭を歩きながら、割と真剣な声で言った。いや・・・だから、鬼ごっこは戦闘ゲームじゃないんだって。厄介な敵とか言うな。いい加減理解しろよな。


リンはそれを聞いて、少し残念そうにした。

「そっかー。じゃー、スバるんは今武器なしかー・・・」

そこまで言って、リンはハッとしてパチンと指を鳴らした。目がキラキラしている。いやな予感がする。

「あ、そうだ!! スバるん、さっきのパソコンはー? さっきのブラックホール、もっかい作ってよ! そしたらこの鬼ごっこ、一瞬で勝てるよ!」

リンは、僕の真横に回ってきて、わくわくした目で僕を見上げた。僕はノリツッコみで華麗に切り返す。

「あーなるほど、使っちゃおっかなー・・・ってダメだよ。そんなことしたら、ペイアン京みたくNight町が吹っ飛ぶだろーが」


カミ男が

「よ、ナイス海苔突っ込み!」

と、「歩きながら前足で拍手」という曲芸を披露してくれたが、漢字変換が間違っている。


「その時は、その時だよ。きゃーっ、世界のオ・ワ・リ♡」

リンがテンションアゲアゲ超絶スマイルでハートマークなんてつけちゃってるが、かわいく言っても無駄だ。誰がそんなことするか。そもそも、僕は家を返してほしいだけなんだ。なにが悲しくて、町ごと消失させなきゃならないんだ。


僕は、はやく鬼ごっこを終わらせないと、僕が疲労困憊で倒れるか、世界が終わるかの2択になる気がしたので、先を急いだ。




しばらく行くと、グラサンミイラ2人組に出会った。ああ、絶対こいつら、さっきトマが言ってた人間役に含まれてるな。放ってるオーラが常人じゃない。まぎれもなく、変人だ。また変なのが出てきたよとほほ。


そのミイラは、グラサンにニット帽、金のネックレス、そして服は着ないで包帯のみ、というcrazyな双子コーデを決めていた。よく見ると、金のイヤリングらしきものまでつけている。まったく、派手なミイラがいたものだ。生前はロックンローラーか?


どことなくカミ男的ファッションセンスを感じさせる2人組(そいつら)は、こっちの姿を認識すると、2人そろって近づいてきた。黙って近づいてくる。なんか怖い。人間だったら、絶対かかわりたくないタイプだ。まあ、ミイラとなると、もっとかかわりたくないんだけど。


ある程度距離が詰まったところで、左側のミイラがしゃべった。

「鬼さんたちー、やぁっと、おでましでしゅか~。結構待ちましたよぉ」

ぼくは、それを聞いて吹きそうになった。やばい、こいつのしゃべり方、超個性的(変人の極み)だ。声はおっさん、口調は子供。

とにかく、第一印象がサイテーだ。トリック オア トリートならぬ、「ギャグ オア キモキャラ」だ。どっちも嫌な類の2択だ。


「おう、ミイラ男ども。()()()()ファッションじゃねーか」

カミ男がうれしそうに声をかける。イカレタファッションセンスの間違いだと思う。やっぱり僕が思った通り、彼らのファッションセンスは似通っているようだ。


「わかってくれるか、俺たちのこの全身からあふれるファッションセンスを! 同志よ!!」

右側のミイラも、腹の底から嬉しいみたいな声を出した。そして、こっちはこっちで口調はカミ男、声は子供という、最悪テイストに仕上がっていた。しゃべるのに合わせて、口周りの包帯がペロペロなびいているのが気になる。


なんで2人とも普通のミイラ男じゃないんだろう。


そもそも、普通のミイラ男って何だろう。もう分んないな。疲れてるから頭回らないよ。

めんどくさいから、さっさと捕まえてやれ。


僕はすぐさまスケボーを起動させた。確かに武器なしだが、スピードさえ出れば何とかなるだろう。

だってこれは、鬼ごっこだから。

武器はいらないはずだから。


「あ。スバるん。やる気出てきたー??」

リンがほうき上で、体勢を整えた。


間髪入れずに、僕は首を横に振った。

「早く家に帰りたいだけだ」


リンは、僕の言葉を信じてないふうに笑った。

「ふーん? ホントは楽しんでんじゃないのー? えへへ、まあいいや。トマも、いつでも始められるように準備して。変なファッションの奴らは、まとめてサヨナラだぞっ!」


トマは、うむ、とうなずいた。

「ああ、そうすることとしよう」


おいおい、それだとカミ男もターゲットになってるぞ? あいつも立派な変人ファッション決めてんぞ。


・・・別にいいか。どうせ、最後には鬼3人にもお帰り願うんだ。今帰ってもらってもいいよ。


僕は、スケボー上で改めて「やりすぎロックファッション系センス無い軍団」を見据えた。

そんな僕の視線に気づいたのか、彼らもファッションで盛り上がるのをやめた。

3人のいでたちに謎の統一感がある。もとから3人組だったかのようだ。


右のミイラが口を開いた。

「そろそろやるか。じゃあ、まずは、はじめましてな人間のために自己紹介からだ。俺の横にいるのがミィ、そして俺はラ男。2人合わせて、ミイラ男だ!!」


・・・それ、本名? 生まれたときからコンビ確定? 誰がつけたんだ、そんな名前。キラキラネームも甚だしい。


「ミィ、ラ男。さあ、かかってきなさいっ!!」

リンが大はしゃぎで、魔方陣を描く。やっぱり戦う前提なのか。その展開、飽きてこないか。


「さぁ、いくでしゅよ~!」

気の抜けるしゃべり方で、ミイラ男たちがこっちに向かって突撃を開始した。


なあ、その展開、そろそろ飽きてくれないか。




奴らはいつの間にか、手に剣を持っていた。今すぐ110番通報して、銃刀法違反で処罰したいけど、あいにく手の届く範囲に、緑矢印は飛んでいない。3メートルほど前方に一本漂っているが、かといって、ここで僕が動いたら、即戦闘開始だ。


警察には頼らず、自分たちで何とかするしかないのか。


僕はできるだけ手を大きく動かさないようにして、パソコンを起動した。リンが期待した目でこちらを見てくるが、ブラックホールは使わない。ミイラ男に対して有効な攻撃手段は今のところ思いついていないが、ブラックホールよりはましなものが、保存されてるかもしれない。何でもいいから、使えそうなもの探してみよう。


トマが、ミィ、ラ男の振るう剣を1人で受け止め、リンがカミ男に向かって炎を浴びせているのを何となく視界に入れながら、僕は画面を上へと流していく。昔遊びで作ったプログラムに、何かなかろうか。


答えはすぐに見つかった。僕の目に飛び込んできたのは、「剣」という名前で保存されていたファイルだった。


そういえば、小学生の時、友達と遊ぶとか言って実体化させようとして、父さんに叱られたっけ。危ないから、仕方ないのだが、あの時はせっかくの遊びを邪魔されて、かなりいらだったのを今でも覚えている。


僕は、少しためらってから、実体化のため、エンターキーを2回押した。あのあと、たしか、こいつの材質を金属からプラスチックに変えさせられたはずだ。プラスチック製なら法には触れない。まあ、戦力もだいぶ低いが、何も無いよりましだろう。


僕が戦況を確認するために、ふと目を上げると、炎の猛攻を浴びてヘロヘロになったカミ男が「ちょっと、タンマ・・・」とかすれ声を出しながら、僕の足元に倒れこんできた。


リン、ちょっとは容赦してやれよ。仲間だろ。


そんな僕の思いをよそに、リンは右前方のほうから、ほうきでこちらに猛進してきながら叫んだ。

「とどめだぁっ!! えい!!」

リンが、何か光るものをこちに投げつけてくる。えげつない高速度だ。

こんなの当たったら、カミ男もたまったもんじゃないな・・・。


そして僕は目を見開いた。


あれ、飛んでくる角度おかしくない? 明らかに、これ、僕に向かって飛んできてない??

ねえ、このままいったら、あの高速光玉、僕の頭部直撃必至じゃね?


それを裏付けるように、

「あっ・・・」

と、リンが、「やっちゃった感」全開の声でつぶやいた。コントロールを誤って、カミ男にあてるはずが。僕のほうに飛んできてしまっているらしい。

もう、何なんだよ。とどめの攻撃でミスはダメだろ!!


僕はとっさにその場にしゃがみこんだ。頼む、当たらないでくれ。あれは当たったら、絶対やばい。

僕は、手で額近くを覆いながらも、恐る恐る光の様子を確認した。

光が、だんだん丸みを失って、矢の形になって勢いを増していく。必殺技としてはかなり有能だ。ただ、魔法使いのレベルが追い付いてないだけだ。レベル上げして出直して来い。


「スバるんっ!避けて! それ、さっきの金お父母ー(きんおふぼー)!!!」

リンが叫んでいるのが聞こえる。え? 何って?


そうこうしている間に、光はすごい速度でこちらに飛んできた。

まっすぐ僕に向かってきている気がする。さっきまで、僕が立ってる時の頭の位置に向かって飛んでいたのに、いつの間にか起動が下方修正されている。変化球かよ。やめてくれ。


もうだめかと思った。


光るものは、見事に倒れているカミ男の上をスルーし、僕に迫ってきた。


ああああ。魔女によくわからない物体投げられるなんて、こんな人生想定外だ。

これで、大けが負ったら、なんて説明して保険金申請すればいいんだ。

自腹で、けがの治療は・・・避けたい。


だが、そこで、奇跡が起こった。

さっきの剣が実体化を開始して、僕の目の前に現れた。光るものが、まるで最初から狙っていたかのように、僕の剣に突っ込んで・・・

そして突き刺さった。


僕は、驚いて剣を見つめた。

この剣、耐久力エグいな。っていうか、刺さってるのは、さっきの金属棒じゃないか。

金の父母ではなかったようだ。しかも、液化した球体焼き芋によってパワーアップした状態のままだ。


「リン! 金属棒、回収してたのかよ」

こっちに飛んできたリンにきいた。リンは首を横に振った。

「なんか、この金属棒、スバるんのこと気に入ってるみたいだよ。おいてかれそうになったから、一緒についてきたんだってさ!」

「棒とコミュニケーションできるのか」

僕はきき返した。いつもなら驚いて聞き返すんだろうけど、もはやそんな精神力すら残ってないよ。


リンはそれを聞いてキョトンとした顔をした。

「ええっ! できないよぉ笑 そんな気がしただけーっ」

どんな推測?! やっぱミソスープはぶっ飛び度合いの格が違うな。


なんか、あほらしくなったので、僕は剣に視線を移した。剣は、棒が突き刺さった状態で実体化を続行していた。棒は剣の実体化につれて、徐々に剣に取り込まれ一体化していく。


そして僕の目の前で、光を放って完成したのは、金色に輝く切れ味のよさそうな剣だった。

あーあ、これは法的にOUTだ。銃刀法違反なやつだ。


「うぉう、なんかすごいのできてるー」

リンも目をぱちぱちさせている。ほんと、やばいもの出てきちゃったよ・・・リンのせいで。


これ、どうするよ。


困っている僕を見上げて、リンの猛攻を浴びてヘロヘロのカミ男が、瀕死ボイスを振り絞る。

「スバル・・・やるじゃねーか。そいつで、俺の分まで戦ってこい・・・」

「えー・・・嫌」

僕は即答した。

こんなの振り回したら危ない。瀕死ボイスで頼まれても嫌だ。僕は正義感の強いタイプじゃないし、そもそも正義感以前の問題として、社会的に問題がある。


「スバル! もうそろそろ私一人では限界だ。早く加勢を・・・」

トマが正義感も社会的制裁もお構いなしに、ミイラ相手に剣をふるいながら僕の援護を要請した。老吸血鬼も結構頑張っているが、変な服装のミイラ2体を相手どってさすがにしんどそうだ。


「いや・・・嫌」

僕はなおも拒絶した。だって、剣なんて生まれてこの方振り回したことないっつーの。僕なんかが行ったって、けがするだけで何の役にも立たないって。っていうか、行きたくないってば。


「スバるん、どうしたの? 怖いの? だったら大丈夫! だって、あたしたちがついてるから!」

「そうだぜ・・・俺たちは仲間だろ?」

リンとカミ男があまり僕の心に響かないような激励を飛ばす。

特についさっきまで仲間を攻撃していた魔女と、仲間に半殺しにされたオオカミに言われても、全然何の慰めにもなってない。


「いや、僕剣とか触ったことないし、触りたくないし・・・」

抵抗を続けようとする僕の右手に、リンは無理やり剣を押し付けた。


「いいから行って!!」

ふいにリンは、僕の背中をほうきでドンッと突いた。衝撃でよろめく。


体勢を立て直す。

剣をアスファルトに突き立てて、体を安定させる。そして一息ついて、顔を上げる。

目の前で、剣を振り上げたラ男がニタリと笑っていた。


・・・やばい、攻撃される。


「おああああありゃあああああ!!!」

ラ男が腕を下に向かって振り下ろした。刀身が宙で弧を描く。こっちに迫ってくる。


だが、僕だってすでに死んだ奴(ミイラ)に殺されたくはない。四の五の言ってられない。

僕は、とにかくやみくもに剣を振り回した。銃刀法がどうした。これは正当防衛だ。


ラ男はよほど訓練を積んでいるらしく、僕のでたらめな攻撃を軽々とかわした。彼はまたすぐに剣を構えなおした。こんなの相手に、どうしろっていうのさ。僕は剣の使い方なんて本当に知らない。鬼ごっこは戦闘だということも今日まで知らなかったんだ、知るわけないだろ。


どんどん開き直っていく僕の思考に、トマの声が割り込んでくる。

「スバル。やみくもに振っても攻撃は当たらない。己の剣の声に耳を傾けるのだ」

あんたも厨二病か。カミ男だけで充分だよ。


ただ、めちゃくちゃに振っても当たらないことは、今実証した。このままでは、すぐにやられてしまう。

仕方ない。やってみるか。


僕は、よくある少年漫画みたいに、戦ってるさなかに悠長に目を閉じる。剣の声とやらに耳の神経を集中させる。僕がラ男なら、ここですかさず攻撃を繰り出すだろうが、意外とラ男の攻撃は今のところ飛んでこない。が、いつ飛んできてもおかしくない。


しばらく、ラ男の攻撃を警戒しながら耳を澄ませた。なにも聞こえない。集中が足りないのか。

ちょっとだけでもいいから、ラ男のことは忘れよう。僕は何とかして、攻撃の恐怖を締め出して、剣のことだけを考えようとする。おーい、剣さん、起きてー。あなたの出番ですよ。


・・・。


呼びかけにも応答しないか。困ったやつだ。まあ、プログラムされてから1度も実体化されることもなく眠っていた挙句、やっと実体化したと思ったら、焼き芋でパワーアップを遂げた金属棒突き刺さるし、仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。不運な剣だ。


それとも、僕の呼びかけ方に問題があるのだろうか。もしかして、剣が覚醒したところなんかをイメージしたらいいんだろうか。それって、戦闘漫画の主人公が必殺技習得なんかでやるべきことだっけ。違うっけ。何だっけ。分かんねーよ。

とにかく、剣から炎出てるところイメージしよう。そのほうが強そうだし。炎出てると、なんかそれだけでカッコいいし。

うん。もうやけくそだ。


・・・イメージしたが何も起こらない。


もしかして、剣さん、長年パソコンの中で眠ってる間に成仏したとか・・・? 戦う前に命尽きたか?


・・・というか、そもそも。

「剣がしゃべるわけないだろ?!」

僕は、イライラMAXで左から右へ剣を振りぬいた。長々と一人ノリツッコみさせやがって。無生物と意思疎通は、無理があるだろ! あんなの、少年漫画の主人公しかできないだろ!


僕は、横目でラ男をにらみつけた。

眼の端に、オレンジと赤が混じったミイラが見える。ミイラが慌てた動きでワタワタしている。ラ男は攻撃を返してこない。


僕は、少したって、その暖色が何か理解した。


ミイラが燃えてる。


ハッとして、僕は自分が持っている剣を見た。

燃えている。大きく炎を上げている。


もしかして、この炎が引火したのか?


「あっつい・・!!!」

ラ男が大声をあげて、斜め45度の角度で上空に飛びあがってひゅんひゅん動き回った。

僕は、剣に自分の脳内イメージが伝わっていたことに呆然としながらそれを眺めた。

「みいらって、とべるんだー」


「うん、中身空っぽだし、乾燥してるから、とっても軽いんだよ!」

リンがうれしそうに微笑む。

「そ、そーなんだ・・・」


ラ男は、最終的にミィがどこからか持ってきた消火器を14秒間使用したことでようやく鎮火し、地面に戻ってきた。地面にへたり込むラ男を、支えながらミィは僕をサングラスごしに見た。

「その剣、何なんでしゅか? とっても怖いでしゅー」

僕は、うなずいた。

「僕も知らない。正直怖い」


「マジかよ・・・。はぁ。まさか鬼ごっこで燃えかけると思わなかったな。もう降参するよ」

ラ男は、僕のほうを向いて両手を上げた。膝をついた足元に、彼の剣が転がり落ちてカランと音を立てる。

「ミィも! ミィも降参でしゅー」

ミィもあわててラ男にならった。


僕は、一息ついてから、ニコッと笑った。

「OK。じゃあリン、頼んだよ」

「うん、分かったー!」

リンは2人のミイラをワープロードに送り込んだ。


これで残りは13人。まだまだ夜は長い。僕は、剣を地面にさしてもたれかかった。






まだ13人も残ってるんですね(笑)

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