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プロローグ
上を見上げると、灰色がかった白い天井がぼんやりと見えてくる。そして目覚めた視界
から被さっている白い布団、金色の天然パーマのかかった長い髪、薄緑のカーテンが見える。
あれ?今日って何日だ?としばらく考えるが、ふと気付く。
ここが病院ならば、怪我をしていたということに誰でも気付くはずだ。
「あ!あぁ、また抑えきれなかったのね……」
とため息をつきながら言うと、またもう一つ思い出した。確か今日は……
「ちょっと待って!訓練学校の入学しっ」
「しーっ!」
声が被っていた。いつの間にかカーテンを開けていた見覚えのある看護師が、点滴を入
れ替えにやってきたそうだ。
「愛美ちゃん、目覚めたばっかの属性能力の雷、また使ったの?こんな大事な日に……」
点滴を入れ替えながら看護師が聞いてきた。
「う、うん。でも妹を守るために。そうだ、妹……!?鈴はっ!?」
起き上がろうとするあたしは、看護師さんに手で抑えられてしまった。
「落ち着きなさい?」
その笑顔いつも怖いなぁ……