カースト潰し、教室へ。
私は、佐野内結羽。
此処、彼岸花高校に転校して来た高校三年。
何回もの転校を繰り返し、スクールカーストを無くしてきた。
______スクールカースト消滅の達人と言った所かしら。
そして今回はこの彼岸花高校に来たって訳。
大体何処の高校に行っても、一軍になるのよね。
最近はそれがつまらない。
車の窓から見える黒い校舎。
あれが、彼岸花高校ね。
裏サイトでカースト制度が裁かれていると聞くけど本当なのかしら?
でも、私は怯まないわよ。
どんな事があっても、カーストは絶対に無くすんだから。
「雪兎高校から転校して来ました。佐野内結羽です。宜しくお願いします」
軽いお辞儀をして、爽やかに笑う。
____ふーん。此処は随分と華やかなのね。
校則も緩そうだから、良い高校かもしれないわ。
「浅墓先生。席は何処でしょうか?」
あくまでも、悪い印象は持たせたくないの。
教師からは、絶大な信頼を。
それは絶対事項よ?
「あ、佐野内さんは黒木夏都君の隣ね。夏都! 手を挙げな!」
無言で手を挙げる、夏都さん。
あら、見るかぎりは一軍ぽいけどどうなのかしら?
あはは。今回は結構楽しみね。
さあ、どんなスクールカーストか見せて頂戴?
「おい、黒木。これやっといて」
「私もー! これやっといてね~」
「あらぁ、夏都? 先生からもこれをお願いするわ!」
積まれていく仕事。
掃除のモップに委員会の書類、そして教師がやらなくてはならない事。
全て無言で貰いサッサと仕事を片付ける。
長く伸ばした夏都さんの前髪からは、冷静の表情が伺える。
この人は三軍って所かしらね……。
ふふ、良いわ。
さあ、お手並み拝見よ?
「黒木さん、大丈夫? 私も手伝うよ」
軽く微笑んで、手を差し伸べる。
夏都君は手を取るのかしら?
「…………お願い、します」
意外と素直な子なのね。ビックリした。
ちょこちょこと、垂れた猫耳の迷彩柄の帽子を触りながら
マスクを上にあげている。
「えー、黒木の手伝いしちゃうのー? ざーんねん。折角一軍に入れてあげようとしたのに」
彼女は、林舞彩ね。女子のカースト一位って所かしら。
「一軍? 何ですか? それは」
あくまでも、知らないふりをするのは掟よ。
「へぇ、知らないのね? じゃあ、説明してはる」
「はーい!」
元気良さげに出てきた、はるさん?という人。
……カーストは、女子二位ね。
見城はる。明るく気さくで、皆のアイドルって感じかしら。
「えっとね? 此処はスクールカーストで組まれてるの! それで、舞彩が女子トップで私が女子の二番目! 私達の事を一軍って言って黒木が三軍! たった一人なんだよ~!? 逆に凄いよね! あははは!」
相手を嘲笑うかのような態度。今回のカーストは手応えがあるかもね。