魔封士 完
長々とお休みして申し訳ありません。
とりあえずの魔封士完結でございます。
「おはよう、気分はどうかな?」
俺は織の中のオプリアに話しかける。
オプリアは押し黙ったままだがまあいい、移送することを告げ、憲兵によって手縄が打たれる。
横ではピーターが檻を切断して出入り口を作っていたりする、金属のこぎりで。
やっぱりあいつの身体強化は頭おかしいレベルなんじゃないかな?鉄の棒がバターみたいに切れていく。
盗賊どもを一般牢に押し込んだ後、俺たちは独房へオプリアを連れてきた。
「入れ。」
憲兵はそういうとわざと手縄を解きオプリアを放り込み錠前を「ガチャリ」とかける。
俺たちは何も言わずそのまま牢の前から立ち去る...ふりをして角から様子を見る。
「…おい、本当に大丈夫なのか?」
まったくピーターの心配性にはあきれるばかりだ、俺の書いた筋書きだぞ?
案の定独房からはオプリアの声が聞こえてきた、しばしの詠唱の後…
「開錠」
オプリアの両手が輝く、が何も起こらない。
懲りずに何度も開錠の呪文を唱えているが当然何も起こらない。
さてそろそろネタばらしといきますか…。
「そんな呪文じゃこの鍵は開かないぜ?」
驚きの表情を見せるオプリア、俺は構わず続ける。
「現存している鍵のすべてを網羅している自分に解けない鍵はないって顔だな?でも残念だ。」
俺は大袈裟にかぶりを振ると
「この鍵は今までにない画期的な鍵さ!お前さんの孫とともに作った、自信作さ!」
バーン!と指をさしてやる。
「…そうか、オプリスが…ワシを超えたか…。」
がっくりと肩を落とすオプリア、安価かつ安心な魔石屑による新たな鍵。
やがて同様のカギが世界中に広まることになるだろう、ガイの俺への愛が続く限り…。
今ここで稀代の魔法、開錠は役目を終えたのだ…。
「開錠封印完了!ってな。」
…後日
「だからさー納得いかないんだってばー!聞いてる?」
悪い酒だ…と俺は思った。
なじみの酒場、いつもの愚痴、よくある光景だ。
仕事モードなどとっくにどこかに行って素のまま愚痴り倒してる幼馴染もいつも通り。
「あんたはあたしからの支払いで黒字だろうけどあたしは儲け無しよ!」
愚痴るのはわかる…まさか俺が溶接したあの錠前…歴史的価値のある逸品で依頼料のうち儲け部分がすべて吹っ飛ぶとは…。
「ねー?聞いてんの?」
小首をかしげてこちらをのぞき込んでくるサマンサ、いつもこうなら可愛いものなんだが。
「ああ、聞いてるよ。」
そういって俺はグラスを一口。
眠たげに突っ伏すサマンサを尻目に酒が濃かったので虚空から水を出し射し水をする。
さらに煙草をくわえ着火する、…無詠唱で。
「そう落ち込むなよ、ここの払いは俺が持つからさ。」
そういうとサマンサはこっちを向いてニッコリと
「ありがとー、ピーターだーいすき。」
と言って眠り込む。
良いんだ、全属性どの魔法でも使える才能なんていらない。
誰よりも魔法のことを知ってて魔力量もあるのに発動適正が全くない可愛い女の子が悲しい顔するぐらいなら…
俺はいつまでも身体強化特化の魔法筋肉バカを演じればいい。
どうしても面倒くさい時とサマンサが危ない時はつい使っちゃうけどね。
「よし、帰るぞ。」
サマンサに肩を貸し酒場から出る。
「ピーター?あたしに変なことしちゃだめよ~?」
そういうサマンサに
「俺が一度でもそんなことしたか?」
といいつつ家に送る。
神様、こんなチートな魔法適正なんかより、彼女に手を出す勇気を俺に下さい!
「…ピーターのいくじなし…馬鹿ぁ…」
何かボソッと声が聞こえた気がした。
完
もともとあった話なのにどうしてこんなに更新ができないのだろうか?
答え:書いてるうちに膨らむから
というわけで無理やりではありますが完結まで持っていきました。
仕事の都合などもありますが…次作が出来ましたら「ちゃんと順序だてて」更新、発表出来たらなと思います。
読んでいただけた方がいらっしゃたなら
心からありがとうございますと申し上げさせていただきます。
それではまたお会い出来たら幸いです。