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いつかきっとまた、君に恋する

作者: 渡辺 ゆき

今となってみれば、君を好きになったこと、探したことが、たった一つの幸せなことだった。ほんの小さなものだけど。いつかきっとまた、どこかで君に会った時、君に恋するのかな。


一年前…


初めてのバイト。働くことを夢見ていたが、夢とは裏腹に働くことは、大変。何度も辞めたいと思っていた。親切で優しい先輩たち。でも、私は、やはり、辞めることを何度も考えた。指導してくださる先輩、ある先輩が私についた。最初はその先輩のことなんて興味すらなかった。何よりも、元々、恋愛というものに興味がなかった。友達がいれば、それでいいって感じだった。小さな幸せ。友達と話せたり、先輩と話せたりすることが。平凡な日々が。


初めてのバイトで、しかも、覚えることが多く、自分のことで精一杯な私。それどころでもない。覚えることに精一杯だった。学校の課題もあるしと、何かしらに覆われた日々を送っていた。


しかし、働き始めて半年が経った。夏のことだった。ある人に出会って私は…気づいた。いつの間にか、好きになっていたのだ。彼のことを。同じ職場で働いている先輩のことを。しかも、指導する先輩のことを。日が経つにつれてどんどんと彼のことが好きなる。頭の中に君が浮かぶ。その度に、にやけてしまう。会うことが楽しみだった。ただ、一緒に

働けていることだけでよかった。最初は。


でも、ある時、彼のことを知りたいって思うようになってしまった。


彼は、年齢的には、結婚していても、子どもがいてもおかしくない。10歳差。近いようで遠い。なぜか、ある日から、だんだんと遠い存在になる。叶わない恋。毎日会うたびに胸がざわざわする。きゅっと引き締められたような感じ。


しかし、半年が経った時…


私は、衝撃的なことを知ってしまう。それはある先輩の送別会の時のこと。彼に彼女がいるってことを。相手の人が…そのことを知った日、私は夜泣いた。頭の中では分かっていたことなのに…


次の日から彼に会うことが嫌だった。何もないのに、泣いてしまいそうだから。ただただ涙が溢れ出そうだから。


しかし、私は次の日何事もなかったかのように出勤した。彼の顔を見れなかった。涙が出そうで。次の日もその次の日も、1週間が経っても、なかなか、心の中が…


頭の中も心の中もぐちゃぐちゃだ。2週間経ってもなかなか、回復しなかった。なかなかこの気持ちがなくならない。前よりももっと頭の中に彼がいる。諦めようと諦めようと何度も何度も。


ある日のこと。


桜の咲いた道を歩いていた。桜の花を眺めなると、切なかった。少しまぶしい日射しが桜を指す。


いつか、この思いが君に届きますようにと桜の花を眺めながら願った。


いつかきっとまた、君に恋する。どこかでまた、出会った時に。あの桜を思い出して。



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