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【サシャ】


あの森で、一緒に来るかと尋ねたもののあの状況下ですぐに素直に来てくれるとは思わなかったから内心どうしようか色々考えてた。

どうにか説得して街に来るようにするか、もう少し心の傷が塞がるまで森で一緒に生活すべきか…だが、みうは目に涙を溜めながらも俺の手に自らの手を重ね「…一緒に行く」と応えた。


移動の為に抱き上げた軽い体になるべく衝撃がないよう気を付けながら、早々と日が暮れ掛かっている森を走り抜け、街へと急いだ。

みうはもう涙を溢す事なく、ただ哀しげに、見えなくなるまでひたすら森を見続け遠く見えなくなって尚、森のある方へ視線をやっていたが、街が近付くに連れ緊張したように体を強張らせはじめた。


微かに突っ張る服の胸元を見ると、そこには俺の服をギュッと握った小さな手。

少し怯えたように見える表情は街の門へと向けられていた。


「………どうした?」

「………」

「みう?」

「あ、の…」

「うん」

「…あの、沢山、人居るから………ごめんなさい」


どう言えば良いのか分からない様子で言葉を探しあぐねていたが、ゆっくり待っているとポツリと呟き、謝ってきた。


(…何故あの森であのウルフ達と過ごしていたかは分からないが、随分と長い間、人と関わらずに過ごしていたみたいだな

それにしても、こりゃちょっと先に話してた方が良いかな…)





【みう】


サシャというおじさんに連れられて街に着いた。

家族が死んでケイナとマイナに会ってからずっとずっと森に居たから、人を見たのはサシャおじさんが久しぶり。

でも、街の玄関にはとても沢山の人が居て、なんだかちょっと怖くなってきてサシャおじさんの服をギュッと握った。

サシャおじさんにどうしたと訊かれても、何て言えば良いのか分からない。

でも、こっちを見て静かに待ってるからどうにか謝ったら、優しくポンっと頭に手を置かれ、そのまま撫でられた。

頭を撫でられるのは随分と久しぶり…パパやママ、兄姉が死んで以来で、なんだかちょっとソワソワするような嬉しいような変な気分。


「みう、あのな?

俺達は会ったばっかりでこれから仲良くなっていくんだ。

それなのに、遠慮したり、我慢したりしてたら、いつまでも仲良くなれない。

だから、お互いに遠慮や我慢はなし!

思ったことはなるべく話すようにして、そこからゆっくり仲良くなっていこうな。」


抱っこされたまま目を合わせてゆっくり話してくれる。

サシャおじさんはなんだかパパやお兄ちゃんに似てる気がする。


「え、と、…えんりょ、ってなあに?」

「え!? あ~、ん~と、そうだなぁ遠慮ってのは…みうが言ったりやったりする事で俺が困ったり嫌な思いをするんじゃないか、って考えて何も言ったりやったりしない事…かな。」


分かったような、分からないような…


「みうが悪い事や困る事をした時はキチンと説明してしないように言うし、何度もやれば叱るだろうが、それ以外で、みうが謝る事はないんだよ。

さっきみたいに気持ちを言っただけで謝らなくて良い。

欲しいものがあればちゃんと言って欲しい。

思ったこと、やりたいこと、して欲しいこと…一緒に生活していく中で沢山出てくると思うけど、我慢ばかりしてたら笑えないだろ?

みうが心から笑って元気に過ごしていないとあのプラチナウルフ達も心配するぞ。」


頭から背中に移った手でゆっくり背中を撫でてくれながら分かりやすいように説明してくれたから、何となく分かった気がする。


「じゃあ、サシャおじさんもえんりょ、や我慢はしないで、みうに言ってくれる?」


早速、えんりょせずに聞いてみようと、恐る恐る尋ねてみたらサシャおじさんは固まって動かなくなってしまった。




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