一日だけ
「うるさいと思えば…」
大谷吉継は窓から城下を眺めた。
午の刻。今日は祭りで、いつもより城下が賑わっている。太鼓の音や人の声がほんの微かにだが、大谷の自室にも聞こえてくる。
大谷は中途半端に済ませた書類を机の隅にまとめ、部屋を出た。
いく宛もなく、適当に城内を歩き、しばらくして大きな庭についた。
廊下に腰掛け、ぼーと庭を見つめる。
「刑部!」
突然かけられた声に小さく驚いた。声の方へ顔を向けると、小柄な男石田三成が立っていた。
今日の石田は珍しく着物をきている。
「今日は何かあるのか。お前が外にいるなんて珍しい…」
刑部はぶっきらぼうに問いた。
「今日は雑務だけだし、着物でも悪くないと思ったんだ。で、俺はお前を探しにきた」
石田は慣れたように大谷の問いにすべて答え、自慢げな顔をした。大谷は石田と出会った頃からこのような質問をしていた。昔はすべて答えられなかくて悔しがっていた石田を見て楽しんでいたものだ。
「ほう…」
今ではすべて答えられてしまい、感心すると共に少しつまらにさそうにしている。
「城下へ行こ「嫌だ」
大谷は石田の誘いを即拒否した。
「なぜだ」
石田は眉間にしわを寄せ、顔をむっとさせた。
「今日は祭りだ。私は人ごみが嫌いでな」
大谷の目はまっすぐ城の外を見つめている。その目はなぜかさみしそうだった。
「悪いな、せっかくの誘いを」
大谷はゆっくり腰をあげた。
「いや、いい。こっちこそすまない」
本当は人ごみなど嫌ではない。
「私は部屋に戻るが、お前はどうする」
ただ
「貴様の事だ。どうせ仕事が終わってないのだろう?手伝ってやる」
怖いのだ。
「……」
人の目が。
「何だ…?」
私を見る目が。
「いや何でも」
私を恐れ怖がる目が。
「何かあるだろう!!何だ!怒らん!だから言ってみろ‼」
もしも
「だから何もないと言っているだろう」
一日だけ
「なぜもったいぶる‼」
病が治れば
「もったいぶってなどおらんわ」
一緒に城下へ行こう
またいつか…
読了お疲れ様でした‼
今回は後半が“うわぁぁぁあ”てなってしまいました…‼
もっと頑張ります…
アドバイス等ありましたら是非‼よろしくお願いします‼