大友くんからの贈り物
朝方。雑務を終えた石田は大谷の私室をたずねた。
「刑部、入るぞ」
石田は戸の向こうからの返事を確かめ、ふすまを開けた。
「⁈」
刑部は座りながら壁にもたれ、静かにケケケと笑っている。
周りには幾つかの服が広げてある。
「刑部…何だその衣は…」
石田の頭の中は「?」でいっぱいだ。
それに比べて、大谷は顔のほとんどが隠れているにもかかわらず、楽しそうにしているのがわかった。
「先程宗麟から届いてな。南蛮の女用の衣らしい」
「?」が増えた。
何故女用なのだ…
石田は「そうか」とだけいい、部屋から出ようと静かに足を引いた。
トンッ…
「おっと、危ないですよ」
「え…」
石田は肩を捕まえられた。見上げると長身の男が笑っていた。
「来たか宗麟よ」
大谷が長身の男の名を読んだ。
キリシタン大名で知られる大友宗麟だ。
「おはようございます、紀之介さん、三成さん」
紀之介とは大谷の通称だ。
石田は状況が把握しきれず、ぽかんと口を開けている。
「二人ともそんなところに突っ立っとらんと早よ入れ」
「はい」
大友は石田の横を通って中に入った。石田は少し戸惑ったが、中に入り、ふすまの側に座った。
「紀之介さん、衣装決めてくれましたか?」
大友は衣を挟んで大谷の前に座った。
「彼奴に着せるとなると、やはりこの色に限ると思うが」
大谷は小豆色の衣を腕に乗せて見せた。
「やっぱりそうですよね!!僕も気に入ってたんです」
何故だか石田は大谷がいつもより生き生きとしているのを感じ取った。まるで今からいたずらでも始めるかのような。
「では行くか」
そう言って大谷はゆっくり立ち上がる。大友は楽しそうに衣をたたみ、大切そうに抱き持った。
「何処へ行く」
石田がそう問うと
「「四国」」
と二人は息ぴったりに答え部屋を出て行った。
四国…
四国といえば、長宗我部氏の占める土地。何故そんな場所に行くのか。
長宗我部…
その瞬間石田に嫌な感が生まれた。
昔姫若子と呼ばれていた現長宗我部家の家督元親に会いに行くのだ。女用の南蛮衣を持って。
石田は部屋から出た。
「待て、刑部…!!」
だが、もう石田の視界には二人の影はなかった。
--四国・長宗我部--
「はあ…?来客ぅぅ?」
長宗我部は気晴らしに外を歩いていた。そこに家臣が来て、自室に戻るよう言われた。
半渋々部屋に戻ってみると
「…⁈」
「やい元親、久方ぶりよの」
「こんにちわ、元親さん!!」
大谷と大友が座っていた。
「来るな!!!!!!!座るな!!!!!!!!部屋から出ていけ!!!!!!!!!!」
長宗我部は二人を見るなり大声を出した。顔は真っ青だ。
大谷はそんな長宗我部を見てケケケケ笑っている。
「まあいいじゃないですか♪」
「近寄るんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!お前らがする事なんて分かり切ってんだよ!!!!!!!」
「安心せい。今回のもきっと似合う」
「そういう問題じゃねえだろ!!!!!誰が女物の衣なんて着るかよ!!!!!!!うわっ…」
長宗我部が剣に手を伸ばそうとした時、大友が掴みおさえた。
「なにすんだよ!!!!!離せっ!!!!!」
「うるさいですね。四国を焼野原にしますよ」
ぜってぇこいつらの味方になんかならねえ!!なってたまるか!!!!!
読了お疲れ様でした!!今回は、九州のキリシタン大名でおなじみの大友宗麟からの贈り物(?)でした!!
少し勢いで書いてしまった部分があるのでわかりにくい文章だったかもしれません…本当にすみません‼
長宗我部は石田は好きだけど、大谷が嫌い。
アドバイス、質問等ありましたら是非‼お願いします!!