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ベジタリアンテレパシスト  作者: キムラ
8/8

結末を迎えない結末

 要するに、これはそういう話だ。

 一組のナルシストな双子の兄姉が、互いを求めて人間を超越する。

 そういう話だ。

 俺の『相手を草食にする』という能力は、基本的にはまるで話に関わってこないし、極限状態で頭のネジが外れない限り、俺が人間を超越することはない。

 こうして、この物語は終末を迎える。

 大まかに分けて、三つの終末を迎える。

 俺の改変した一般世界における俺は、あのまま幸せに暮らしていくだろう。

 また、ハッチを開け、外に出ることで超越者となった俺は、姉の精神をも自分と同等の存在へと昇華させ、悠久の時を経て、恐らく宇宙が滅亡するその日まで、幸せに生き続けていくことだろう。

 そうして、最後。

 ここに残った俺。

 最後に『ハッチを開けることの出来なかった俺』が残る。

 俺は彼らの人生を見る。

 俺は俺の中で唯一、『他世界の自分を見る能力』を得た。

 それは、何もない空間、時間の止まった空間で、暇で暇で仕方なかったからかもしれない。


 この時間の止まった世界で、観測されぬ世界で、俺は俺を見る。

 ずっと自分を見続ける。

 いずれ、全ての可能性を見終える、その日まで。


  END


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