番外篇 草取り
真昼の夏。
太陽の日射しが容赦なく体力を奪う。
暑い・・・暑い・・・。
私は必死に地面の雑草を抜いていた。
「この草はおいしいのだろうか・・」
「えーっと、明日葉とか天ぷらにして食べられるよ」
「へー、そうなんだ。物知りだね、飛鳥は」
「この辺の雑草は青臭いし、お腹壊しちゃうよ」
「青虫だって食べられるんだから、俺たちにも食べられなくないとおもうんだよね」
遠くの方で火男くんと布野くんの声が聞こえる。
私たちは虫と同類なのか。
「何万前って何食べていたんだろうね。バナナとかあったのかな」
「サルが食べてたくらいだからあったんじゃない?」
「猿って昔からいたのかな」
「昔からって?」
「恐竜の時代とか、人間が生まれる前とか」
「あ~、猿の化石なんて聞いたことないね。そもそも世界の始まりってなんだろう」
このくそ暑い時によくも、そんな話しできるなんて信じられない。
どっからその体力が残っているんだが・・
「ちょっと草取りしてないじゃない!」
布野くんが座っている周りには草がたくさん生えている。
かれこれ2時間も経っているというのに。
「もう飽きた。面倒くさいし、腹減ったし、眠い」
あなたはただをこねる子どもですか。
「口を動かさないで、手を動かしなさいよね」
「何で俺ばっかり。飛鳥だって喋ってたのに」
「見てみなさいよ。火男くんは喋りながらも手を動かしてるのに対して、でも布野くんは喋ってばかりで動いてないじゃない」
面倒くさがりのくせして、要領がいいし、この性格で勉強できるから腹が立つ。
真面目に取り組んでいる人が馬鹿みたい。
「直さん、直さんこれ見て下さい」
「うぎゃぁぁぁぁぁ」
あかりちゃんは虫をつかんで私に見せた。
「うゎぁぁ近づけないで。虫嫌い、気持ち悪い」
「えぇ、かわいいじゃないですか~」
「いなごって食べられるよね。つくだ煮にしたり」
「生き物を食べるなんてひどいです!」
「残酷」
あかりちゃん、あなたは一体何を食べて生きているの。
「まだ時間あるし、少し休もう」
「手洗いにいかなくていいの?」
みんなが汚れた手を洗いに行く中、布野くんだけが日陰で座っている。
「汚れてないから」
彼の両手は見事にきれいだ。
おかしい・・・
普通なら土を触るだけで汚くなるし、きれいのままなんて絶対ありえない。
「どのくらい草むしりした?」
「始めて5分で面倒くさくなった。ただでさえ、焼けると赤くなってヒリヒリになって痛くなるんだよね。春は花粉症、夏は梅雨と日焼け、冬は寒い、秋が一番いいね」
「あんたねぇ!ほぼやってないじゃん。ってか好きな季節なんて聞いてない」
どこぞのお嬢様か。
絶対痛い目に遭わせてやるんだから!
読んでくださり、ありがとうございます。
都合上、ちょくちょく番外編書かせて頂きます。