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プロローグ
こんな光景を、私は今まで見たことはない。
いや、誰一人このような光景を見た者はいないだろう。
ビルは倒れ、木々は朽ち果て、道路が綻び、仲間達が消去されていく。
みな各々の武器で必死に抵抗をしているものの、圧倒的な戦力差の前にどんどん撤退をよぎなくされる。
ここは茜町。
私たちが住んでいる町。
なのに、ここは私たちの居場所はない。
前線から撤退してきた仲間たちと合流し、一緒に走る。
私は呼吸を整え、前方からやってくる集団を見据えながら右手に持つ槍を構える。
だが、ふと気がつくと、周りが恐ろしく静かになっていた。
急いで周りを見回す。
ついさっきまで、今の今までいた仲間たちの姿がない。私の周りには、何もかもなかった。
完全な汚染だ。