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ここからはじまる物語  作者: 滝沢美月
第2章 同窓会
7/24

メールの誘惑



 朝、鏡の前で制服のリボンを直してると。

 ブーッ、ブーッ。

 携帯のバイブレーション。

 机の上に置いてあった携帯が鳴った。

 携帯を取ってみると、メールが一件。



『From:菊池 カンナ

 subject:おはよー

 本文:いま起きた。今日も暑いね』



 カンナからのメールだ。

 メールを読んで、頬がゆるむ私。



『To:菊池 カンナ

 subject:おはよう

 本文:私はこれから、朝ごはんだよ。今日はすごい暑くなるみたい!』



 メールを打ちながら、リビングへと降りていく。

 さっき見たニュースで、今日はすごく暑くなると天気予報士が言っていたのを思い出して、メールに書く。

 



 私とカンナが出会ってから三週間。

 あの日。

 カンナとメールアドレスを交換した。

 それ以来、カンナとはメールをするようになって、カンナは朝起きるとかならずメールをくれる。一時間後には、電車で会うというのに。

 私は、というと。

 筆不精ならぬ、メール不精で、なかなかメールを返さないんだけど……

 いえね、そもそもメールが来たことに気づくのが遅くて、返信が遅れてしまうの。だから、着信に気づいてすぐに返信するのは朝の一回のみ。

 カンナもそんな私の性格をわかってくれて、頻繁にメールをするわけでもなく、一日に三、四回やりとりするだけ。おはようとおやすみメールは必ず来るけど。




 いつものように朝ごはんを済ませて、家を出る。

 今日から七月。

 梅雨も明けて、暑い日が多くなってきた。

 額に浮かんだ汗を手の甲で拭う。自転車をこぎながら空を見上げると、春には桜並木だった木々の葉の隙間から夏の日差しがちらちらして、眩しかった。




 うちの高校は、前期と後期の二学期制。

 中間試験が終わって、一カ月も経たないで夏休みがやってくる。

 他の学校の子が期末試験に追われているこの時期、ただやってくる夏休みを待つだけなのだ。

 確か、カンナの通ってるN高も二学期制って言ってたな。

 もちろん、授業は普通にあるし、二学期制で試験の回数が少ない分、一回の試験範囲が広くて大変ではあるけどね。

 そんなことを考えてて、駅に着いて、定期を出そうとカバンの中に手を入れて探ってると、携帯が鳴った。

 見ると、中学の同級生からだった。



『From:三井 夕貴(みつい ゆうき)

 subject:3-A同窓会のお知らせ

 本文:7月24日(土)18:00~ たぬき亭で、3-A同窓会をやります。

    参加できる人は、三井まで返信よろしく!

    全員にうまく連絡いってないかもしれないから、他の人にも伝えてね!』



 あっ、この間話してた同窓会の日にち決まったんだ。

 改札を抜けて、ホームを歩きながらメールを読む。

 中学三年のクラスメイトはみんな仲良くて、その中でも特に仲が良い仲間とは二~三ヵ月に一度集まっていて、メールの送り主の三井夕貴も中間試験前に集まった時に会っている。

 でも、同窓会って形で集まったことは、卒業以来一度もない。今回が初めての同窓会ということになる。

 卒業以来会っていない友達に会えるのも嬉しいし、三年A組のみんなが集合すると思うと中学生の頃が懐かしくなって、うきうきとした気持ちになる。益々夏休みが楽しみになってきたな。

 電車に乗り込んで、メールを打つ。



『To:三井 夕貴

 subject:同窓会

 本文:日にち決まったんだね。夕貴が幹事? 参加するのでよろしく』


 すると、すぐに返信が着た。



『From:三井 夕貴

 subject:そう~

 本文:私が幹事することになったんよ……、中野に押しつけられた。

    譲子参加で了解!

    そういえば、御堂と同じ高校だよね? 私、御堂のアドレス分かんないから

    譲子から伝えてもらうことってできる? あと、須藤さんもお願い』



 って……!

 ええっと、別にいいんだけどね。

 別にいいんだけど、ちょっと気が進まないなぁ……

 そう思いつつ、慣れない手つきで、またすぐにメールを打つ。



『To:三井 夕貴

 subject:了解~

 本文:御堂君とは今年、同じクラスだから、学校着いたら聞いてみるよ』



 別に、御堂君に聞くのは構わないんだよ。この間、同窓会の話題はしたし。

 ただ、その時の事を思い出すと、同時にあの事も思い出しちゃって……




『……奈緒とは別れたんだ』




 私は、カチカチとメールを打つのに夢中で、カンナが目の前に立ってることにぜんぜん気づかなかった。


「譲子さん? めずらしいね、ケータイいじってるなんて?」


 急に声をかけられて、びっくりして顔を上げる私。

 立ってるカンナが覗きこむように私を見てて……

 パタンッ。

 焦って携帯を閉じてカバンにしまっちゃった。

 カンナが不思議そうに首をかしげる。


「なんでもないよ」


 そう言って、話をそらしてしまった。




第2章のスタートです!


夏休みが近づき、カンナ、譲子、御堂の関係が徐々に変わり始める……

新たな登場人物も増えて!


この章は長くなりそうですが、更新はわりと早くできそうです。


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