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ここからはじまる物語  作者: 滝沢美月
間章 MONOLOGUE
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あの頃のわたしたち



 中学の三年間ずっと同じクラスで、ずっと気になっていた男の子。

 サラサラの黒髪、通った鼻筋。落ち着いた雰囲気をまとった彼の事がずっと好きだった。

 きっかけは、たぶん単純なこと。

 中学一年の時、初めての席替えで隣の席になった彼が、普段はシャイで無口なのに、私と話す時はよく笑ってくれて、ちょっとした会話が嬉しくて、自然と好きになってたんだと思う。

 


 

 席が離れてからも、時々喋って、男の子の中では一番仲が良かった。彼にとっても私が一番仲の良い女の子で、特別だと思ってた。

 だから好きって気持ちを伝えなくても、こんなに仲がいいなら、それでいいと思ってた。中学二年の時も、中学三年の時も、その先も。その関係が、ずっと続くと思ってた。でも、それは私の勝手な思い込みだったと知る。




 中学三年の時。

 初めて同じクラスになったけど、席が近くてすぐに仲良くなった奈緒が、彼の事を好きだと言った時。

 私も好きだとは言えなかった。

 私も好きだと言えばよかったのに……




 それから間もなくして、奈緒が彼に告白して、彼と付き合うことになったと聞く。その時になって、私が彼にとって特別な存在じゃなかったと知った。奈緒と彼が付き合いだしても、彼は私に今まで通り接してくれて、いっぱいいっぱい話したり、笑ったりした。

 だから、特別じゃなくてもいいかなって思った。

 彼にとって、女の子として一番じゃなくても、女友達として一番だったらいいかなって。




 でも、少しして、彼に言われたの。

 あまり話しかけないでほしい、って。彼女が心配するから、彼女以外の女の子とは、あまり仲良くできない、って。




 はっきり、言われてしまった。

 私は、女友達としても一番ではなくなった。彼の中で、彼女の奈緒が一番。それ以外は、一番もなにもないんだって。




 もし、私が先に告白してたら何か変わってたかな?

 もし、あの時……

 



 そう考えることがあるけど、いくら考えても、もうあの頃のわたしたちに戻ることはできないのにね。




 彼と話さなくなってから、あっと言う間に月日が経ち、中学を卒業。同じ高校に進学したことを、高校に入学して、数日後に知ることとなる。




 どこで、なにか間違えたのかな。

 あの頃のわたしたちは、あんなに仲が良かったのに。彼女とか彼氏とか関係なく。私も、奈緒も、彼も。みんなみんな、仲が良かったのに。

 あれから、二年が経って。

 私と奈緒は、時々メールをするのみ。奈緒が彼と付き合いだしてからは、一緒に遊ぶことも滅多になくて。

 私と彼は、同じ高校。一年ぶりに同じクラスになったけど、以前とは違って話すこともなく。

 彼と奈緒は……

 この二年、二人の間にあったことを私は知らないけど。

 今、彼・御堂君と奈緒は、別れたという。




 あの頃のわたしたちは、二年後、こんな風になっているとは思いもしないんだろうな。




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