まさかの告白
外に出ると、一つ二つ、星がキラッと光った。
七月も終わりに近づいて、夜でも外の空気はもわっとした熱を感じさせた。
店を飛び出した勢いのまま走り、少し行ったところで止まって。
はぁー、はぁー。
膝に手をついて、肩であらい呼吸をする。
さっき、奈緒はなんて言った……?
頭を必死に動かして、さっきの事を思い出そうとするけど。
ピリッ。
また胸が痛んで、その場にしゃがみ込んだ。
タッ、タッ、タッ……
後ろから足音がして、月明かりで出来た人影が私のすぐ後ろで止まった。
御堂君が追いかけて来たんだ、って分かったけど、私はしゃがんだまま、膝に顔を埋め込んでうつむいた。
「桜庭……」
さぁーっと、暖かい夜風が吹いて、木の葉がさやさやと揺れた。
私は、葉の音と一緒に御堂君の声を聞いていた。
「俺は、桜庭が好きだよ……」
その言葉に、体がびくっと反応する。
それでも、顔を膝につけたまま、黙っていた。
「中学の時……桜庭のことは仲のいい友達だと思ってた。だから、奈緒に告白された時も、ただ嬉しくて、それだけで付き合いだしたんだ。
しばらくして、奈緒に、他の女の子と仲良くしないでほしいって言われて。奈緒がそうしてほしくないなら、そうしようと思った。
だけど、桜庭と話さなくなって、寂しくて、毎日がつまらなくて……
それでやっと、俺は桜庭の事が好きなんだって気づいた。奈緒には正直な気持ちを話して、年が明けた頃には別れた……」
「うそ……」
私は、思わず顔をあげて、御堂君を見た。
「だって、卒業式でも、御堂君と奈緒は仲良さそうにしてて……」
卒業式、御堂君と奈緒が笑いあっているのを、遠くから眺めている自分がいた。その時の事を思い出して、また胸が痛くなる。
「奈緒とは、別れても今まで通り、友達として接してほしいと言われたから。
すぐに、桜庭には自分の気持ちを言おうと思った。でも、その頃は登校日もほとんどなくて、会えない日が続いてタイミングを逃して。高校が同じだって知った時も、せめて桜庭とは、以前のような友達に戻りたいと思ってた……」
うそ……
私は、首を横に振って言った。
「そんな……、だって、廊下ですれ違った時も、目も合わせてくれなくて。
同じクラスになった時だって、なんにも……、私、嫌われたのかと思ってた」
「いつも、話しかけようと思った。けど、なんて声かけたらいいかわからなかった。だから、朝、駅で会った時はチャンスだと思って、桜庭も普通に話してくれたし。
でも、N高のヤツと一緒にいるのを見て、焦った。もしかして付き合ってるのかって、それからずっと気になってて、さっき友達だって聞いて安心したんだ」
そこまで言って、御堂君が私を見る。
瞳の奥に切なさを宿して、真剣な顔で言ったの。
「俺は、君が好きだ」
そう言った御堂君のきれいな瞳が、一瞬うるんだ。
「付き合ってほしい」
「わたしは……」
そこまで、言って、言葉に詰まる。
突然の告白に驚いて、頭の回転が鈍る。
胸が、ジリジリ痛んで、顔をしかめる。
私は、どうしたいんだろう……
なんて言えばいいのかわからない。
黙りこんでると。
「答えは今じゃなくていい。俺だって、自分の気持ちを伝えるのにこんなに時間がかかったんだ。だから、桜庭もゆっくり考えてから、答えをだしてほしい」
御堂君がそう言ったのとタイミングよく、夕貴がやってきた。
その場の雰囲気とかお構いなしに、右手を振り上げて叫ぶ。
「さぁ、二次会にいくぞー」
そう言って、私の腕を強引に引っ張ってたぬき亭の方へと、ずんずん向かう。
すでに、たぬき亭の前には、わらわらと同級生たちが出てきてて、二次会に行くか行かないかを話していた。
一人、二人と、二次会には行かないで帰る子たちが、別れを告げて去っていく。
そんな中、私はただひたすら御堂君の事を考えていた。
だから、夕貴に手を引かれるまま二次会へ行き、そして三次会へ……
気が付いたら、カラオケルームの中。
とっくに終電の時間は過ぎ、三次会のカラオケオールのメンバーの中に自分がいたのだから。
ビックリ!
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