表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春映像オムニバス あなたも、青乃春(あおの はる)。  作者: 舟津湊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/44

恋の 当選戦略

負けて勝つ。


それがこの生徒会長選挙の僕の勝ち筋だ。

いや、それは選挙に勝つためではないが。


ライバル候補は、文武両道、才色兼備(セクハラか?)の同級生。

彼女と僕は、一回目の投票で、偶然にも同点一位。

生徒会顧問の判断で、ガチの討論会の後、決戦投票でこの高校のリーダーを決めることになった。


同じ得票数だが、彼女が獲得した票と僕のそれとは全く質が違う。

彼女への一票は、本当にこの学校をよくしたいという思いを託したもの。

僕への一票は、なんかふざけた奴がおるなあ、でも、オモロイから一票入れたろうか、という『シャレで投票しました』という不純な動機のもの。


僕は、決戦投票でわざと負ける。

こんな人間が生徒達のリーダーになったって、ろくなことはない。

もともと、生徒会の仕事なんて面倒そうだし、やりたくなかった。

じゃあなんで、立候補したがって?

ただただ、彼女に僕のことを知ってもらいたかっただけだ。



全生徒を前にした彼女と僕の公開討論会が始まった。

「まず、改革に向けての第一歩は、ひとりひとりの生徒に耳を傾けることです。」

「そんな、きばらんでもええやん。耳にタコができまっせ。」

僕はエセ関西弁で返し、彼女の熱意を引き立たせる。ひたすらこれを繰り返す。

パイプ椅子に座る生徒達から笑いが起きる。


それでも彼女は冷静に淡々と、自分の主張を繰り返す。これで生徒会長の座は彼女に決まったも同然だ。


討論のおしまいに、彼女が僕に向き直る。

「ところで高野くん、最後に聞きたいんだけど。なんで、生徒会長に立候補したの? とても学校のために何かやってやろうという意志は、何も感じられないんだけど。」


じっと僕を見つめる、というより睨む。

僕はその目力(めぢから)に気圧され、全生徒の前で本音をぶちまける。

「た、ただ佐伯さんに僕のことを知ってもらいたくて。」

「・・・こんなことやって、私の気を惹けると思ってるの?」

「いや、きっかけにでもなればと思って。」

「何甘いこと言ってるのよ・・・」


彼女はハンドマイクを構え直し、正面を向いて声を発した。

「恋に生きたければ、堂々と戦い、勝て!」


体育館中が歓声で湧き、討論会は時間切れとなった。


結果。

もちろん彼女は圧勝して生徒会長になった。


予想外だったのは、生徒会長権限で僕が副会長に指名されたこと。

生徒会の仕事は、やはり忙しかったが、彼女と一緒にやるのは楽しい。

まあ、計画通りにはいかなかったが、当初の目的は達せられたわけだ。


あとあと知ったことだが、あの討論会は、『めおと漫才討論ショウ』と名づけられ、学校のレジェンドとして語り継がれているそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ