いっしょにかえろ
「竹崎君、こっち!」
「ちょっ、藤野先生、校門の前で待ってるって、ヤバいでしょ」
「あら、先生って呼んでくれるんだ」
「ここじゃ、そう呼ぶしかないでしょ?だいたい、なんで俺のこと『君』づけなのかな?」
「あら、名前で呼んで欲しかった?」
「……少しは自分の立場考えたら?」
「あら、私たち何かやましいことしてる?」
「してなくても、みんなそういう目で見るだろ」
「そうね、何か冷やかな視線を感じるわね……そうだ、いっそ私たちの関係、バラしちゃおうか?」
「冗談を!それで困るのは先生なんだよ。新任早々、変な噂がたってもいいの?」
「そしたら竹崎君も困るもんね。あなたモテるんだし、女の子ちに嫉妬されるかしら」
「で、ここで待ち合わせてどうするの?」
「……一緒に帰ろうと思って。」
「え⁉まさか、うちに泊まるの?」
「うん、今日は帰りたくないし」
「あのねえ、俺たち、もうそういう関係じゃないんだよ」
「いつからそんなに冷たくなったの?」
……ねえ、お願い、今夜だけ」
◇
「久しぶりね、二人でこんな風に一緒に歩くなんて」
「そうだっけ?」
「あら、以前は手をつないで歩いたじゃない……またつないであげようか?」
「少しは大人になってよ、もう」
「なによ、年下のくせに……あら、雨が降ってきたわ」
「これ、折りたたみだけど貸してやるよ」
「なにいってんのよ!濡れちゃうわよ」
「やっぱ相合傘はまずいだろ……それ貸すから、自分ちに帰ったら?」
「いやよ!今日は帰りたくない」
「しょうがないなあ、今夜だけだぞ」
◇
「ただいまー」
「お帰り、あら、ヒトミも一緒なの?」
「ああ、新婚早々、旦那さんと喧嘩したんだってさ」
「ハイ、一晩お世話になります。かあさん」




